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マツの「スーパーシート」

マツにはお気に入りの場所がある。私はこれを「スーパーシート」と勝手に名づけた。餌場からかなり離れたところなのだが、マツは休憩するときはわざわざそこまで移動する。大きな岩と小さな岩がぶつかっている境目のところだ。マツは大きな岩のほうにしっかりと張り付いて、お尻(クルクル巻いた貝殻の頂点)を小さな岩の上にチョコンと置くスタイルで、昼寝をしたり、ボーッとしたりと、自由にくつろいでいる。 マツはどうしてこんなに大きくなったのかと不思議なのだが、とにかく一人だけ体がデカイ。食べ過ぎなのか、私のエサのセレクトがよいのか(?)、人間で言えばかなり「メタボ」状態であることは確かである。だからどこへ行くにも「どっこいしょ」といった風で、ノッソリノッソリと歩く。そんなマツにとって、お尻を安定させられるこの場所は、重力の負担が少なく、かなり楽に過ごせるのではないだろうか。 「さあて、ご飯も食べたし、寝ようかな」と、いつものお気に入りの場所に向かって、当然のように歩き出すマツの姿は実に手慣れたものである。巻貝はもっと適当に、その日暮らしの偶然に頼った場所で生活していると思っていたが、このように人間と同じく「生活習慣」があるようだということを、最近になってマツに教えられた。

「寒がりマツ」

マツは体が大きいくせに寒がりだ。去年の冬も気温が低いとあからさまに機嫌が悪くなり、微動だにしないのはマツだけだった。他の貝たちは、寒いと多少動きが鈍くなるくらいで、そこまで不機嫌にはならない。 自然界の場合、基本的には水中のほうが温度が高いから、マツは寒い日は一人で(いや、「一匹」で・・・というか、いや、やっぱり「一人」で・・・)ブクブクと水中に潜って、じーっとしている。タマキビは本当は水が苦手なはずなのだが、それでもあえて水中に潜るのだから、よほど寒いのが苦手なのだろう。 今年もそんな日が増えてきた。

ヌシ、今度はマツから「おすそ分け」してもらう、の巻。

塩田近くのTさんからマツたちが「おすそ分け」してもらった地元の海の干しワカメ、今度は私がマツから「おすそ分け」してもらった。 「おすそ分け」は、ネットのSNSなんか比べものにならないほど「深み」のあるコミュニケーションネットワークではないかと思う。人から人へ(時には貝へ・・・)と、手渡されるのはその「モノ」だけではなくて、「温もり」のようなものでもあるからだ。 特に食べ物の「おすそ分け」は人を幸せにする。よほど嫌いなものやゲテモノでない限り、食べ物をもらって怒る人はいない。食べ物をもらうと、みんな一様に笑顔になる。食べ物を通じて、話もはずむ。その笑顔をどんどんつないでいけるのが、奥能登の「おすそ分け」文化の素晴らしいところだ。 さて、マツからの「おすそ分け」を私は何に使ったのかと言うと・・・糠漬けの塩抜きである。奥能登には多くの発酵食品がある。どれも先人たちの長い伝統・知恵に裏打ちされた、他の追随を決して許さない完成度だ。 その中でもかなり特異なものが、「ふぐの子」と呼ばれる猛毒のふぐの卵巣の糠漬けである。ふぐの卵巣を3年間、しっかりと糠漬けすると、何故か毒がなくなる。その理由は、現代科学でもまだ解明されていない。 糠漬けの期間が3年より短いと危険だ。過去に2年半くらいのふぐの子を食べて中毒を起こした人もいるから、この3年という期間は厳密に守られている。当然であるが保健所のチェックも厳しく、定期的に製造者に講習会を行うなどして事故の再発予防に努めており、一般に流通しているものではまず全く問題ないので、安心していただきたい。 私はこのふぐの子が大好きで、毎回、輪島の朝市で15年来の付き合いになるお気に入りのおばちゃんから購入させてもらっている。学生の頃はなかなかたくさん買うことができなくて、「500円で小さいのをおまけして」と頼み込んで、お情けで赤ちゃんのゲンコツくらいの小さいのを譲ってもらい、大切に食べていた。海外にも持っていって、少しずつつまんでいた。 最近はさすがに、1000円分か2000円分ずつ「大人買い」するくらいの余裕はできた。他のものを削っても、ふぐの子にはお金をかけたいという思いもある。そのくらい、うまい。 ところが・・・私はモノの量を把握するのが大変苦手ときているため、まだ冷蔵庫に残りがたくさんあるのに、新しいふぐの子

マツ、能登の「おすそ分け」文化の恩恵にあずかる。(2)

帰宅して、マツたち8匹の無事を確認した後、塩田の親方に協力してもらって汲ませてもらった新鮮な海水で換水を行い、さっそくTさんからいただいたワカメを海水で戻し、ボトルの中に入れてみた。おそらく今までで一番長い、まる6日間近くの留守だったから、さぞかしお腹を空かせていたはずだし、一刻も早く貴重な「ふるさとの海のワカメ」を食べさせてやりたかった。 他の貝たちはともかく、マツは滅茶苦茶ご機嫌ナナメであった。私がどんなに話しかけても、こちらを向かない。この頃、マツが機嫌が悪いときになだめ役を買って出てくれている、名無しちゃん(名前がないので、文字通り名無しちゃん・・・)が、「マツ、ヌシが帰ってきたよ!」とでも言うように、ツノで何度もマツを突付いていたが、マツは頭を出しているくせに、絶対にこちらを向かないのだ。6日間のうちに、寒気も訪れたし、お腹も空いたしで、いろいろと面白くなかったのかもしれない。まあしょうがないと、私も疲れていたので、取りあえずワカメを入れるだけ入れ、点呼を取って寝てしまった。 翌朝・・・朝のあいさつをするためにマツのボトルを大きな水槽から出そうとすると、既にマツはガラスに張り付いてお出迎え。何と今までに見たことのないほど、 超ゴキゲン♪ なマツがそこにいた。「おいしかったでしょ?」とマツに話しかけると、クルクル回る「お茶目ポーズ」(別名:マッツンダンス)だけでなく、何度も身を乗り出しては私のほうを見ながらツノを振る「万歳ポーズ」(・・・と命名)まで見せる始末。ボトルのフタを開けてまたびっくり。昨晩あんなにたくさん入れておいたワカメが、きれいさっぱりなくなっている。要するに「おかわりをくれ」という意味だったのか? マツにまだ戻していないワカメの袋を見せて、「おかわり?」と聞いてみると・・・「それだよ、それ!」と、興奮状態。 これは大変、大ニュース!!!と、すぐにTさんにメールで報告。Tさんもよかったと喜んでくれた。新鮮な「ふるさとの海水」もよかったのだろう。マツはやっぱり、塩田の海の子なのだなあと実感した瞬間であった。

マツ、能登の「おすそ分け」文化の恩恵にあずかる。(1)

能登には「おすそ分け」の文化というのがある。いわば「物々交換」みたいなものだが、田んぼで取れたお米、自分の庭になった果物や、畑で取れた作物、現代に至っては、スーパーで買ってきた食材、等々を気軽に「おすそ分け」する。 いずれもいわゆる「商品価値」の高いものではないから、中には見栄えの非常に悪いものであることも少なくない。「おすそ分け」はどこの田舎にもあることだと言われるかもしれないが、能登の場合は「おいしいからもらって!」と、よい意味でのアピールが入るのがユニークなところである。変な謙遜をするよりも、相手の人を「おもてなし」したい、相手の人に喜んでもらいたい、そういう心意気にあふれている。 (なお、小声で言うが、私が食うにも困るようなピンチに陥った時、この「おすそ分け」文化のおかげで餓死せずに済んだ。あの経験は、私に本当の意味での食べ物に対する感謝や有り難さを教えてくれたと感じている。だから、今でも能登の人たちには頭が上がらない。) 実は先週半ばから、数日間、3月末以来久しぶりに能登に滞在した。なつかしい人たちにも大勢再会したが、その中で思わぬ「おすそ分け」をいただいた。それは、奥能登の塩田のすぐ近くに住むTさんからの大量の「干しワカメ」であった。Tさんは近所の方から「おすそ分け」してもらったのだそうだが、大量にあるので食べ切れないうちに色が変わってきてしまって、どうしたものかと思っていたらしい。 マツはいつも何を食べているのかと聞かれたので、春に買い込んだワカメを干したり冷凍したりして、今日は輪島産、明日は七尾産、明後日は宇出津産といった風にローテーションしてやっているのだと話すと、「それならマツに食べさせてやって」と言って、縁日の綿菓子が入っているくらいの大きなビニール袋にいっぱい入った、干しワカメの袋を渡して下さった。近所の人からの「おすそ分け」をさらに「おすそ分け」というのもよくある話。でも、たぶん巻貝たちへの「おすそ分け」は、奥能登史上、これが初ではなかろうか? 塩田の前の海で取れたというから、これはまさにマツたちが親しんで食べていたはずのワカメ。塩田辺りの海岸のワカメが店などに並ぶというのはあまり聞いたことがないから、「おすそ分け」でしか手に入らない、大変貴重なものだ。しかも、船で沖に出て取ってきたものだそうだから、海辺で拾うのよりも「

マツは太平洋が苦手。

マツを飼い始めた頃、どんなエサをやったらいいのかも分からずに、取りあえず人間用の黒海苔を入れてやり、手をつけずに死んでいった巻貝たちも多い中で、マツだけはそれを食べて生き残った。だから、マツは基本的にはあまり好き嫌いがないというか、生きるためなら何でも食べてみようというたくましさがある。ところが、先日10月に私が和歌山に旅行に行った際、留守番しているマツたちへ「お土産」として買ってきた潮岬名産の姫ひじきだけは、どうしてもマツだけは受けつけないようだ。他の巻貝たちはものすごい好物というわけではなくても、この姫ひじきを結構よく食べてくれている。それなのに・・・である。 潮岬の干し姫ひじきは、それだけを専門に扱う組合があるほどの名産品。高級品として全国的に知られているものだそうだ。作る過程も伝統的な手法を使っており、聞いた話でうろ覚えではあるが、二度湯がいて干したものを保存用の土嚢のような袋に入れておく。必要に応じて水で戻して食べるのだが、他所のひじきと違って自慢できるところは戻したものがグジュグジュにならず、時間がたってもしっかりしている、という点らしい。実は9月にも潮岬まで出かけていたため、干し姫ひじきの存在は知っていたのだが、二度も湯がいているというのが巻貝たちに嫌われる原因にならないかと思って、その時は買わなかった。しかし、マツたちが食べなくても私が食べればよい話だし、本当に立派なひじきだったのでどうしても欲しくて、それもあって遠路はるばる再度10月に出かけ直した。 地元の漁協スーパーを覗くと、生っぽいひじきがビニール袋に詰められて、生鮮食品コーナーの冷蔵陳列棚の中に並べてあった。1袋150円。海藻は冷凍保存が利くことを春に能登で買い溜めたワカメ等で知っていたし、生っぽいほうがおいしそうに見えた。実際にはこれは、乾燥ひじきとして保管されていたものを水で戻してすぐに使えるようにしただけだそうだが、「貝殻や砂が入っていることがありますので、ご注意下さい」との注意書き通り、かなり天然に近い状態だったので魅力的だった。毎日定期的に入るものではないと聞き、スーパーの方にお願いして、帰る日まで冷凍保存しておいて頂いた。 そして、前回買いそびれた干し姫ひじきも手に入れた。本来は潮岬のすぐ近くの大島の観光地に出ている屋台のおばちゃんからお手製のものを買おうと思っていた

鵜匠と鵜との「語らい」

マツたちを飼い始めた時、私は奥能登を出て、1年弱の間、岐阜県に仮住まいをしていた。ちょうどその頃と前後して、岐阜県の名物である「鵜飼い」がラストシーズンであった。せっかく岐阜県にいるのに鵜飼いも見ないで出てしまう(翌年にはいないことが決まりつつあったので)のは残念だったから、何とか予約を取り、既に少し肌寒い中ではあったが船に乗せてもらうことができた。 船に乗ると、鵜匠の方が鵜飼いの歴史や飼育方法などについて説明して下さった。また、動画サイトを検索すると、鵜匠と鵜たちの普段の生活のドキュメンタリーなども見つかって、事前・事後にさらに知識を深めた。そこで学んだ中で最も印象的だったのは、「鵜匠は鵜たちと生活を共にし『語らう』」ということであった。これを文字通り鵜匠たちは「語らい」と呼ぶ。 私とマツたちとの共同生活も、この「語らい」に非常に近いと感じる。自然科学的な見方をすれば、鳥や巻貝と「語らう」なんてのは妄想以外の何物でもないのかもしれないが、長い鵜飼いの歴史の中で鵜匠たちがごく普通に「語らい」ということを大切にしてきたというのは、非常に重要であると考える。鵜匠と鵜は日々の生活の中でコミュニケーションを取り、信頼関係を深め、その結果、鵜も鵜匠のために一生懸命に漁をするようになる。人間とそれ以外の生きものとのコミュニケーションが可能であることを、昔の人はよく知っていたのではないだろうか? もちろん、私とマツたちとの「語らい」なんて、鵜匠たちから見たら低レベルなものに過ぎないかもしれないけれど・・・ 【関連記事】 生きものと「語らう」ということ

「おしくらまんじゅう」

今夜の東京はかなり冷え込んでいる。 夜更かしをしていて、うっかりマツたちのボトルの入った大きな水槽に銀シートをかぶせていないことに気づいた。 この頃は温度差をできるだけなくすため、夏の頃から取り付けている水槽周りの銀シートに加え、夜間は窓のところに二重にした銀シートをカーテンの上からぶら下げ、さらにダメ押しのように水槽の上から銀シートを1枚かぶせているのだ。 銀シートをかぶせ忘れたので、寒いのではないかと心配になってボトルの中を覗きにいってみると、マツたちは寒い時期に恒例(?)の「おしくらまんじゅう」をやっていた。巻貝たちに人間のような「体温」はないと思うのだが、寒いとみんなで固まって寒さをしのぐのは人間やよく見る動物たちとあまり変わらない。 それが、外からの風を防ぐための習性なのか、たとえ巻貝であってもみんなで固まっていると少しは温かいと感じるのか、どういう理由でなのかはまだ今ひとつよく分からずにいる。 ボトルのフタを開けた途端、ミドリがこっちを見て、必死で身を乗り出してアピールしていた。ここ数日、マツはちょっと体調を崩したのかおとなしめだったが、ミドリはとても元気で、何かにつけて私にしっかりと自己主張をしてきていた。もちろん今回のアピールは「寒いよ!寒いよ!」であろう。 私ですら、窓際でパソコンをやっていて急な冷え込みにびっくりしたほどだから、当然である。私の部屋にボトルを持ってきて、軽く暖房を効かせたところで休ませようかとも思ったが、今までずっとTEGARU(テガル)の水温管理下に置いているので、急激な変化はないほうがよいと判断し、忘れていた銀シートを上からかけてやった。 温度計の数値を見る限り、今日の水槽内の最高気温は23度台。最低気温は19度台。一方、TEGARUによってコントロールされている水温は20度設定で、最高21度台、最低19度台である。ざっくり考えて、気温の4度差をTEGARUが2度差まで調節してくれていると考えてよいだろう。 マツは去年の今頃にも、ちょっと体調を崩して、随分心配したものだ。マツは大きい図体の割には寒いのが大嫌いである。他の貝たちが元気に動き回っていても、寒い日はマツだけは嫌いなはずの水の中でじっとしていたり、自分の居心地のよいお決まりの場所を見つけて、そこで微動だにしない。 こんな風な巻貝たちの

「シタダミ」のシンプルな食べ方

貝類に関して「ベジタリアン化」しつつあると述べておいて大変矛盾しているが、マツたち「シタダミ」の大きな魅力の一つである「食べ方」について書いてみよう。だいたいが、「シタダミ」とか「磯の巻貝」などと入れて検索すれば、まずリストアップされるのはこんな飼育ブログではなく、「おいしい食べ方」というのが悲しいかな(?)現実だ。 私にこの食べ方を教えてくれた奥能登の揚げ浜塩田の親方は、私がマツたちを飼い始めたことにびっくりして、「(マツたちを見ていても)俺にはうまそうとしか思えんけどなあ」とまで言われたほどである。そのくらい間違いなくうまいし、能登の年配の方たちは酒のつまみによく食べる。 その親方から教えてもらった一番簡単でおいしい食べ方は、塩水で茹でて、熱いうちに待ち針で身を突付くという実にシンプルな方法である。身が小さいから、針がないと中身を出すことはできない。この点はかなり面倒だが、苦労しても食べたくなるほどうまい。まさに、「やめられないとまらない」のである。 さて、この塩水であるが、まったく今考えれば恥ずかしい話だが、生まれも育ちも東京のど真ん中という私は、親方から「塩水で茹でて食べるんだ」と教えてもらって、最初の頃はいちいち水道水に塩を混ぜて茹でていた。 ある時、「ほんなら海水を汲んでいって、それで茹でればいいんじゃないが?」と指摘され、「あ・・・」と愚かな都会モンの私は気づいたのである。それ以来、シタダミを採取したときには、必ずペットボトルに1L程度海水を汲んで持って帰るようになった。 そのうち、最初から手鍋を持参し、その中に採集したシタダミたちを入れて、海水とともに家に持って帰るなんていう手抜きワザまで身につけてしまった。ただし、ストレスなのか、車に乗せて持って帰る途中で大量のフンをするので、鍋に入れた海水をそのまま煮るのに使うのはお勧めできない。別途ペットボトルに海水を汲むのは、そのためである。 マツもそうやって私に「拉致」されてきた。 マツ、本当にごめん・・・ だが「シタダミ」たちが、その小さな体にもかかわらず、奥能登の生態系に立派に貢献して「里海」を構成し、時には人間の食料となり、果ては人間の心を癒やす家族の一員とまでなってくれているというのは、考えてみるととても偉大なことだと言えないだろうか?

ひょっとして、ビニールハウス効果?

夏の水温管理のために、マツたちのボトルは大きなアクリル水槽の中に入れてある。つまり、水槽が二重になったような、ちょっと特殊な状態だ。何となくTEGARU(テガル)を片付けるタイミングを失ったままなので、今もそのままの状態にしてある。ただし、TEGARUの水温設定は少しずつ下げて、マツたちが寒さに慣れられるように配慮してきた。9月まではだいたい22度で設定していたが、次第に「昼間は22度、夜間は20度」といった具合に、昼夜の温度差を人工的に再現するようにしていた。 だが、ここのところめっきり冷え込むため、下手に高い水温設定をしていると、水槽の中が蒸気で曇って水が滴り落ちるようになってしまった。その水がマツたちのボトルのすき間から入ったりしたら大変と思い、現在、水温設定は20度固定である。22度設定だと曇りが出るが、20度なら大丈夫。いつもこうやってギリギリのラインを手探りで見極めるのが、この1年間のマツたちとの暮らしの全てだったと言っても過言ではない。 それでも水槽は窓際に置いてあるから、夜間はだいぶ冷え込んでいるはずだ。水温は20度維持で高めとは言え、特にマツは寒がりだから空気の冷えの点が心配だった。磯の巻貝たちは魚と違って、始終水に潜っているわけではない。特にマツたちタマキビは、貝のくせに水が基本的に好きではない。だから一層、空気の温度管理も大切なように思う。しかし今日、何でこんな簡単なことに気づかなかったんだろうということに気づいた。 私は蒸発を避けるために、水槽のフタ代わりに食品用のラップを使っている。だいたい1ヶ月くらいは持つ。汚れてきたり、水槽のアクリル面によくくっつかなくなると、新しいものに取り替えてきた。本当は透明なプラスチックを百均で買ってくるつもりだったのだが、適当なものが見つからずにいるうちに、夏が終わってしまったのだ。このラップが思わぬ効果を発揮していたのだ。つまり、ラップがアクリル水槽の中を、簡単なビニールハウス状態にしていた。だから、マツたちのボトルを取り出そうと手を入れると、室温がかなり冷え込んでいてもホワッと温かいのである。・・・ということは、逆に考えると夏は室温よりも蒸し暑かったかもしれないから、恐ろしいのだが。 つまり、今までは、「室温vs水温」という要領で温度管理をしてきたが、本当はアクリル水槽内の空気の温度が分か

「1周年」

マツが奥能登の海を離れて私と一緒に暮らすようになってから、この10月20日で1年になった。マツが一番古株だが、他の貝たちも12月までには順次1周年を迎える。1年間、とても長かったような、あっという間だったような、不思議な気持ちである。 去年のちょうど今頃は、食べるつもりで取ってきたはずのマツたちをどうしても食べる気になれず、かといってどうやって飼っていいかも分からず、とても焦っていたのを覚えている。マツはマツで、奥能登の海岸で片手鍋にいきなり放り込まれて(つまり、最初から「調理」が前提だった・・・)、そのまま当時私が住んでいた岐阜県まで連れて来られて、キッチンで糞まみれになりながら放置されていたのだから、とても辛い時期だったはずだ。今、あの時の状況を思い出すと、ゾッとする。よくマツはそんな過酷な状況を生き延びてくれたと思う。無知とは本当に恐ろしい。かわいそうなことをしてしまった。 その後、いろいろな方々の助言をいただきながら、試行錯誤で今のような飼育方法に取りあえず落ち着いたのが昨年11月半ば。年末には、厳寒の中をボトルのまま車に乗せて東京まで一緒に引っ越し。そして、初めての夏にはこのブログにもある通り水温管理で大変苦労したし、そのせいなのか死んでいった貝たちも少なくなかった。まさに「激動の1年」だったが、何故かマツだけはいつもずっと安定して元気でいてくれた。飼い始めた頃からマツの生命力に感嘆し「コイツとは長い付き合いになるなあ」と思っていたのだが、本当にその通りになった。 気づけばいつの間にか去年の倍くらいの大きさになってしまったマツは、貫禄十分な一方で、最近、心なしか年寄り臭い行動が増えてきたように思う。あらためて考えてみると、マツの年齢を私は全く知らず、推定すらできない状態なのだ。巻貝の寿命は一般に3~4年と言われているが、昨年の時点でのマツの姿を思い返すに、まだ1歳の「若造」という感じではなかったし、ひょっとするとマツもそろそろ老齢の域に達しつつあるのかもしれない。それを思うと、とても寂しい気持ちになる。 朝起きれば、ボトルのフタを開けて「マツ、おはよう」と話しかけるところから私の一日が始まる。マツも機嫌がよい時はツノを振って身を乗り出して、ちゃんと挨拶を返してくれる。前日のエサがおいしいと、「おいしかったよ」とでも言いたげに、身体全体で機嫌

思っていたよりも寒い。

一晩、マツたちをTEGARU(テガル)のコントロール下から外してみた結果、朝、一番冷え込む時に室温は18.5度という結果が出た。その時、マツたちのボトルを入れたダンボールの箱の中は20度ジャスト。水温は正確には分からないのだが、ダイソーの簡易水温計によると18度だった。TEGARUのコントロールだと、22度設定で簡易水温計が20度を指すから、いつもより2度低い水温と考えてよい。 思ったよりも寒い。急に本格的な秋となったなあとあらためて実感した。しかし、フタを開けて「おはよう」と挨拶をしてみると、思いの外マツたちは元気いっぱいであった。マツは機嫌がよい時によく見せる、自分から両方のツノを大きく振って身を乗り出す姿勢で「おはよう」の挨拶を返してくれた。やはり彼らは低温にはかなり強いようだ。 だが、午後2時を過ぎた今、寝室に置きっぱなしにしていたら徐々に水温が上がり始め、水槽の中に入れてあるダイソーの簡易水温計が22度を指すようになった。22度自体は経験上、全く問題ではないのだが、朝からの温度差が4度あるというのが気になった。彼らは長期スパンでの幅広い温度への適応能力は高いが、1日の温度差があまり大きいのは好まないと感じているからだ。 まだ温度差に慣れてもらうための訓練1日目なので、これ以上はまずいと思い、TEGARUを22度設定にして再び大きな水槽の中にボトルを戻した。大きな水槽の中は水量が多いせいなのか、TEGARUを止めてあったにもかかわらず、昼間でも水温が22度のままでキープされている。TEGARUをつけずに大きな水槽の中に置きっぱなしにするのも一つの手だが、今日はこれから仕事に出なければならないので、無理をするのはやめておくことにした。 来週か再来週にまた数日間不在にする。そういう意味では、それが終わるまではTEGARUのコントロールに任せたほうがよいのかもしれないが・・・ちょっと迷うところである。水槽用のヒーターは、自由温度設定ができるものはかなり値が張るし、マツたちには大げさだと思う。28度固定のヒーターを買うなら、サーモスタットが必要となるし、TEGARUは16度以下では使えないし・・・一体どうしたらよいのだろうか? 再び頭の痛い季節がやってきた。 【関連記事】 ゼンスイ・TEGARU(テガル)の関連記事<まとめ>

冬に向けてのテスト開始。

10月に入り、涼しいのを通り越して「寒い」と感じることが増えてきた。上着を羽織る機会もちらほら出てきた。 夏場はずっと24度設定だったTEGARU(テガル)だが、マツたちにいつまでも夏の気分でいられては冬の寒さに適応できないと思ったので、少しずつ設定温度を下げ、最近は22度にしていた。しかし、今日(10月4日)などは室温が初めて20度を切る状態となり、TEGARUはほとんど稼働していない。 TEGARUの良い点でもあり、悪い点でもあるのだが、実はTEGARUはクーラーとしての機能だけでなく、簡易ヒーターとしての機能も合わせ持つ。TEGARUの内部にあるペルチェ板は、電気が流れると表と裏とで熱交換を行う構造をしている。あくまでド素人レベルでの理解と把握の仕方ではあるが、表を5度下げたら、その分、裏が5度上がる仕組みだと考えればよい。 したがって、ペルチェ板の表と裏を切り替えれば、温度を上げることだってできてしまうのである。この原理を利用して、設定温度よりも2度ほど低くなるとTEGARUは設定温度まで戻そうと、ペルチェ板の表と裏を切り替えて、温度を上げる方向に動き出すようにプログラムされている。だったら一年中使えるからいいのでは?と思うかもしれないが、ここが落とし穴なのだ。 ペルチェ方式は、周囲の温度(室温)に強い影響を受けてしまう。したがって、ある一定以上または一定以下の室温下では、冷却または加熱が追いつかず、ずっとモーターが回り続けて壊れてしまったり、想定外の電気代がかかってしまったりする恐れがある。たしか室温が16度を切ると、加熱効果が十分機能しなくなるらしいから、真冬の使用はあまり期待できそうにない。暖房使用が前提ということになるが、私は暖房が大変苦手である。何よりも暖房は、冬なのにゴキブリを呼び寄せるのが耐えられない! そこで今晩は、久しぶりにマツたちのボトルを温度調整のためのプール役をしてくれていた大きな水槽から出し、私の寝室に置きっぱなしにすることにした。とは言え、私が夜中に電気を点けたり消したりするのはストレスになるだろうし、あまりにも温度変化が大きいと、今までTEGARUでコントロールされて少々「甘やかされて」いたマツたちは、戸惑ってしまうかもしれない。 そこで、冬の間ずっとマツたちの保温に使っていた、Amazonの段ボール箱と

ゼンスイ・TEGARU(テガル)用の銀色ホースカバーを自作。

まだ窓枠エアコンとTEGARU(テガル)だけで温度管理を行っていた頃 、TEGARUのホースカバーを購入しようと書いた。 ダイソーにあると聞いたので、あの時、早速見に行ってみたのだが、ホースカバーとして使えると話題になっていた、ガスホース用のカバーはもう廃番だと分かった。代わりに店舗で勧められたものは、真冬に水道管を凍らせないための太い発泡スチロールのカバーだった。しかし、これでは柔軟性がないため、TEGARUの細いホースには全く不向きだった。 ホームセンターにも同様の商品しかなかった。ガスホース用のカバーも置いてはあったが、発泡スチロールは入っておらず、あくまで油汚れを避けるためのアルミホイルのカバーという感じだったので、保温には向かないと判断し、購入を見送った。 結局、自作しかないと覚悟した。不器用だから、どうせまた失敗するんだろうなあと憂鬱だった。以下、その記録である。正確な寸法などは記憶に頼っているので、多少違っている可能性が高いことをあらかじめご了承いただきたい。 材料は、百均で買った車用の銀色のサンシェードで破損して使えなくなったものがあったので、それを活用することにした。試しに合わせてみると、ちょうどサンシェードの寸法がTEGARUのホースの長さにほぼ一致していた。 TEGARUのホースの外径(直径)は13ミリであるから、円周率をかけて、だいたい4センチあればホースの周囲の長さに達する。余裕を見て、たしか5センチ幅に切ればよいだろうと判断し、そのように切った。 ところが・・・ 実際に手作業でこの銀シートを貼り合わせようとすると、かなりテクニックがいることが分かった。強力な接着剤を使っても、しっかりとくっつくまでには時間がかかる。おまけに、あまりキツキツに作ってしまうと、ホースを通すのにも苦労する。結局、1回目のチャレンジは失敗に終わった。 そこで、2回目は余裕を見すぎではないかというくらいに幅を取ってみた。接着がしやすいように、銀シートを最初から丸めて作るのをあきらめ、その代わりに3つ折りにできるようにしたのだ。3つ折りにして、重なっているところを「のりしろ」にすれば、結果的には筒状に仕上がる。 たしか10センチ幅に切ってみたと思う。そして、だいたい3つ折りにして、「のりしろ」部分を少し短めに調整。両端を洗濯ばさみで

夏が終わった。

パッとしない変な夏だった。 夏の初めに熱中症で私が死にかけて、大家さんのお情けで壁掛けエアコンがついたものの、フル回転する日もさほどないまま、あっという間にもうすっかり秋。今振り返れば、あの頃が一番暑かったのかもしれない。 2ヶ月近くもブログを放置してしまったのは、熱中症で体調を崩してからこうしてまたブログに向かえるようになるまでに、それだけの時間がかかったからである。本当に自分の身体の弱さには愛想が尽きている。その間、壁掛けエアコンを使いこなすのに手間取ったというのも、理由の一つだ。 あんなに心配した夏のマツたちの水温管理だったが、壁掛けエアコンがついてからはあまり神経質になる必要もなく、結局、TEGARU(テガル)だけで無事乗り切ってしまった。ZC-100αとはご縁がないままとなった。 テガルの温度設定は23度または24度で適宜調整して、全く問題なくその温度で保てていた。おかげで、最後のスガイとお別れしてから、マツたちタマキビ5匹とイシダタミ3匹の合計8匹は、全員大きく体調を崩すことなく、無事この夏を乗り切った。 ペルチェ式を馬鹿にする人たちは多いが、環境さえ整えてやれば、コンパクトだしとても使いやすい。電気代も、窓枠エアコンだけでやっていたときは1万円を超えて焦ったが、壁掛けエアコンになってからは、2部屋同時に冷やしていたのにも関わらず、8000円台まで抑えられた。もちろんこの中には、テガルの電気代も入っているのだから、財布に優しいと思う。 今後の課題としては、いつ、どのタイミングでテガルをしまうか、である。去年の秋にマツを連れてきて以来、この夏まではヒーターなどは一切使っていない。あくまでテガルは、クーラーとして購入した。だから、どこかでしまいたい。今でも暑い日はやはり日中の室温が30度には達するため、なかなかしまえずにいる。見極めが難しい。 ↓小さいけど、頼りになるテガル。お世話になりました。m(__)m 【関連記事】 ゼンスイ・TEGARU(テガル)の関連記事<まとめ>

危うく死にかけた!

タイトル通り、危うく死にかけた。貝の話ではない。ヌシこと、この私がだ。そんなこともあって、しばらく更新ができなかった。 死にかけたのは、日中、40度近くまで上がるこのアパートの室温のせいだった。窓枠エアコンはマツたちの部屋についており、その冷風を隣室の私の部屋に流す形を取っていたのだが、東京の暑さはたとえ同じ気温だとしても海風の吹きつける奥能登での暮らしとは別モノであり、窓枠エアコンで2部屋を冷やそうなんて全く無理な話だったのだ。 私はマツたちの命を守ることを最優先にした結果、夜中は全く暑さで眠れず、やっと眠れたと思っても、朝起きれば32度を軽く超える室温となっており、毎日のように吐き気と頭痛で意識が朦朧とする、まさに熱中症状態に陥ったのである。 引っ越し貧乏でまとまったお金はなく、壁掛けエアコンなぞとても付けられなかった。もう1つ窓枠エアコンを買うことも考えたが、電気代が非常にかかることが予想されたのと、私のいる部屋は東と南に窓のある最も日当たりのよい場所のため、おそらく効果がないだろうと思われて躊躇していた。 こんな私の惨状を見て、アパートで孤独死でもされてはかなわないと思われたのだろう、最終的には大家さんのご厚意でエアコンを付けていただけることになり、取りあえず生命の危機は脱した。最後には「貝の命と自分の命とどっちを優先するんですか?」と嫌味まで言われる始末だったが、私はめげなかった。 なぜなら、こんな状態でも私には自分の都合で彼らを奥能登の海から岐阜県を経由して東京まで連れてきた責任があると思っているから、「自分の命を優先します」なんてとても言う気になれなかったのだ。マツたちが、一生懸命私の人生に付き合ってくれていると感じている以上、彼らの人生、いや、貝生をないがしろになんてとてもできないと考えた。 エアコンを付けていただけることになるまでにはそれなりに顛末があり、時間がかかったので、結論が出るまでの間、私はもう「灼熱地獄」としか言いようのない暑さをしのぐために、マツたちの部屋に座椅子を持ち込んで食事をしたり、リクライニング状態のまま眠ったりしていた。もちろん、仕事どころではなかったのは、言うまでもない。ブログもしかり、である。 ↓私の部屋にやって来たエアコン。

ついにゼンスイ・TEGARU(テガル)、限界か?

ついにTEGARUにも、限界が訪れたのではないかと思われる。 今日の暑さは普通ではない。私の住む東京の外れの気温は午後2時の時点で33度と発表されており、今日はさらにもう少し上がるかもしれないという予想だ。日当たりのよすぎるこのアパートでは、マツたちの水槽のそばにおいた温度計で、朝6時台からすでに室温が32度を超えていた。すぐにエアコンを全開でつけ始めたが、マツたちの隣にある私の部屋の室温は30度超えのままだし、マツたちの部屋はかろうじて30度以下に収まっているという状態。 室温30度以下であればTEGARUは普通に動作することになっている。実際、今までも32度程度だったら23~24度までしっかり下げてくれていた。ところが、今日は数値は同じ32度でも、その暑さの質というか、体感温度が全然違う。その影響を受けてか、思うように水温が下がらず、安定しなくなってきている。この違いは一体何に起因するのだろうか? 湿度もそれほど高いわけではないのだが。 先日 、TEGARUの目標水温を23度設定にしていると、内部タンクの水温と実際の水温の間に差が出るようになったと書いた。23度まで下げるのがきついのだろうと判断し、その後24度設定まで上げた。段階的に水温を上げていく分には、現実の奥能登の海の水温だって真夏には30度まで上がることもあるので問題ない、と聞いていたからだ。 心なしか、ちょっと貝たちの動きは鈍った感じはするものの、生命に別状があるというような雰囲気ではなかったので24度設定のまま行こうと決めた。外部の水温計を見る限り、最低水温が23.1度、最高水温が24.6度といった状態で昨日までは安定もしていた。 ところが・・・ 今日はその24度設定でも、内部タンクの水温と実際の水温の差が出るようになってしまった。24度台前半の水温でも25度と表示されてしまうのだ。しかも、以前はゆっくりとではあるが、TEGARUがサーモスタットで稼働を始めると次第に水温が下がっていくのが確認できたのに、今日はむしろ数値がときどき上がることすらあるという状態。これはつまり、TEGARUの限界が訪れたと考えるよりほかないだろう。 マツたちの部屋の窓は徹底的に銀シートで覆っている。窓枠エアコンの枠の上部についている蛇腹状の部分からも光が入ってくるので、そこも銀シートで覆

最後のスガイ、さよなら。

先月29日に遠方に出かける頃から元気のなくなっていた、最後のスガイの死亡を確認した。最後までスガイたちの本当に好きな食べ物や環境を見つけてやれなかったことが、とても悲しく、残念である。 先月30日に帰宅した時点では、元気がないながらも、光を当てるとフタを閉じるなどの反応があり、生きようという気力も見られたのだが、ここ数日はフタを開いて顔とお腹を出したまま微動だにしない状態が続いていた。昨日、水を取り替えたばかりなのにもかかわらず、マツたち他の貝がボトルの上部に上がってきていたので、ひょっとして?という思いがあり、そのスガイだけ整えておいた別ボトルに移して様子を見た。今日になって、かなりの異臭が漂うようになり、その死を認めざるを得なかった。マツたちは、一歩先にその異臭に気づいていたようだ。 巻貝はめったに顔やお腹を出したまま死ぬことはない。フタを閉じてこもりっきりになり、そのまま弱って死んでしまうパターンが多い。そのフタをこじ開けようとしても、ほとんどの場合無理だ。しかし、過去には長老がお腹を出したまま死んだ例がある。長老は本当に自然体で死んでいったから、それを考えると、この最後のスガイもまた寿命だったのかなと思う。長老のときは顔を見ることはできなかったが、このスガイは顔もすべて出したままで息絶えていた。目がいつの間にか濁って目立たなくなっており、目を見れば生死もある程度判別できることを改めて知った。光を当てても、もうフタを閉めることはなかった。人間も生死の判定に瞳孔反射を見るが、それと似たようなものかもしれない。 持ち上げたまま逆さにすると、フタがパタリと閉まってしまう。しかし、また元の位置に戻すと、フタがパカッと開いて顔とお腹が出て来る。本当に生きているそのまんまで死んでいった感じだ。その姿を見ていると、最後までよく頑張ってくれたなと思う。弱り始めてからも一生懸命口をガラスにくっつけて貼り付く努力をしていたのも見ているから、なおさらだ。巻貝は弱ってくると口を前に出すことが難しくなる。口を前に出すことさえできれば、どこかに貼り付くこともできるし、もちろん食べ物も食べられるのだが、それが難しくなるから余計弱るという悪循環に陥り、やがて死んでしまう。 スガイのいなくなった水槽には、マツたちタマキビとイシダタミ、そしてアラレタマキビだけが残された。だが、実

ゼンスイ・TEGARU(テガル)レビュー:1ヶ月目(猛暑日)

エアコンも扇風機も最強モードで回しっぱなしだが、室温は31度を超えている。さすがにTEGARUでは心もとない状況になってきた。普段は水温23度設定で、本体のディスプレイに23以上の数字を見ることはない。しかし、今日は24度を指したままである。 ただし、直接センサーを投げ込むタイプの水温計の数値によれば、最高でも23.6度までしか上がっていない。これはいつもどおりだ。今現在も、TEGARUに24度と表示されている一方で、水温計には23.1度と表示されている状態だから、実際にはTEGARUがギリギリで頑張ってくれていると思われる。 TEGARUの場合、サーモスタットが1度刻みで働くようになっているから、23度に設定しておくと理論上は水温が22.5度から23.5度の範囲内に収まることになる。実際、普段も22.2度から23.6度の間に収まり、特に問題は感じていない。留守中もそのままだったし、今日もそうである。 たしかに、TEGARUに表示される水温は内部にポンプで取り込まれた水の温度だから、実際の水温と多少のズレが出ることは大いにあり得る。とは言え、今まではこうしたズレは生じていなかったから、今後ますます暑くなることを考えると、これは少々不安要素と言えるかもしれない。 TEGARUが水温を下げる能力自体は、室温が30度を少し超えたくらいでは何ともないと感じている。ただし、周辺温度が上がり過ぎると、水温には影響しない範囲でこういう表示のズレが起きてくるということは、頭に入れておく必要がありそうだ。 【関連記事】 ゼンスイ・TEGARU(テガル)の関連記事<まとめ>

猛暑を耐える。

昨日2日は、夜になっても気温が下がらなかった。都心部では夜中の時点で24度だったようだが、おそらく私のいる東京の外れではそれよりも2度くらい高いと思われる。つまり、「熱帯夜」確定である。一晩中エアコンと扇風機をつけっぱなしにしても、なお寝苦しかった。 そして今日3日もまた猛暑が続いている。昨日は窓に銀シートを設置して、何とか室温が29.9度まででストップしたが、今日は同様にしたのにすでに30度に達している。TEGARU自体は30度ジャストぐらいではどうということもなく水温を下げてくれるが、稼働しまくりになるのは事実だ。 様子見中の最後のスガイは、お腹と顔を見せたまま数日微動だにしない。しかし、光を当てたりするとフタを閉めようとはするので、まだ頑張ってくれている。お腹は出したままというところを見ると、どうも老衰なのかなと思わざるを得ない。今朝の状態だとそろそろ硬直が始まり危ない感じだが、臭いはしていないし、かすかだが反応も残っている感じだ。 水を取り替え、食べやすいエサを入れてやり、ときどき呼びかけて励ましてやる以外、私にできることはもう何もない。「死後硬直」などと言うけれど、私は犬を飼っていたときの経験からも、また、これまで死んでいった貝たちの様子からも、生きものは死ぬ直前から少しずつ硬直が始まると感じている。 最後のアラレタマキビ「抹茶ちゃん(アラレちゃん)」もまた、一応呼びかけるとフタは開けるが、その力も弱々しく、あんなにムシャムシャとエサを食べていたのに、その姿ももう見られない。やはりこの子も限界かなという感じになってきて、何とも寂しい限りである。最後まで諦めずに世話をしてやりたい。旅行中に死なずにいてくれたことだけが、幸いだ。 この暑さの中でも、マツたちタマキビやイシダタミたちはけっこう元気である。フタをしめてじっとするわけでもなく、お腹を出してちゃんと動き回り、エサもしっかり食べている。その逞しさに驚嘆してしまう。このままでは、私のほうが先に倒れそうである。何しろ、エアコンと扇風機をつけっぱなしにしても室温30度なのだから。

「涙雨」

28日に経過観察中だったスガイ1匹を、空きになっていたもともとのスガイ用のボトル(#1)に移した。すでに全く反応がなくなっていて、絶命している確率が高くなったためだ。 #1はもともと状態があまりよくないボトルなので、できればもう少しマツたちと一緒のボトル(#2)に入れておいてやって、最後の復活の望みを託したかった。しかし、早ければ28日のうちに遠方に出かけて留守にするかもしれず、その間に腐り出すと#2のボトルが全滅してしまう恐れがあったため、移動させるしかなかった。苦渋の決断だった。 #1のボトルの状態が少しでもよくなるように、あまりよろしくないと思われる汚れだけは落として、水質のチェックも行った上で移動させた。結局、出発は29日の早朝になったのだが、出かける前に確認すると、独特の臭いを立て始めていたので死んでしまったことを認めざるを得なかった。 それだけでなく、留守にしなければいけないというときになって、残された最後のスガイまでどうも具合が悪くなり始めた。また、最後のアラレタマキビ「抹茶ちゃん」まで、何度も水底に落ちるなど不安要素が続々と起きてきた。そのため、出発時間を大幅に遅らせて直前まで貝たちの世話をし、晴れない気持ちのまま出かけることになった。 30日の夕方に帰ってきてみると、元気のなかったスガイは、元気のないままではあったが一応生きていてくれた。「抹茶ちゃん」も水底に落ちることなくいてくれた。そこで、スガイが比較的好むと思われるカジメや冷凍の生ワカメを多めに入れてやり、換水もして、現在も様子を見ている状態だ。 スガイは本当に自己主張をしない、おとなしい性格の貝である。だが、それだけになかなかコミュニケーションを取るのが難しい。そのため、いまだにスガイが喜んで食べてくれる海藻も、何をきっかけに具合が悪くなるのかも、今ひとつはっきりしないままであり、それがとても心苦しくもどかしい思いだ。 スガイの場合、寿命だから死んでしまうのか、何かスガイによろしくない環境があって死んでしまうのか、それすら分からないことが多い。だからついつい、私は自分のせいで死んでしまったのだと考えるしかなくなってしまう。 ただ、スガイが水質の悪化や臭いなどに特に敏感だという気はしているので、具合が悪くなるとまずは換水を積極的に行ってきた。実際、それで元気になって

「死にゆくもの」

名前こそつけていないが、古株のスガイの1匹がここ1週間ほど具合が悪い。どうも寿命を迎えているような気がする。もう1匹のスガイは何ともなく元気にしているから、水槽の状況が悪いせいだとは感じない。温度の調節もTEGARUのおかげで随分楽になったし、エアコンも上手に使いこなせるようになってきたから、環境はそう悪いものではないはずだ。 朝いたところからずっと動いていないので、そのスガイを持ち上げてみたところ、お腹を出したままびくともしない。ちょっと触っても、全く反応がない。長老もそのようにして死んでいったので、もう駄目か・・・と思って、悲しい気持ちでじっと見つめた。 すると、お腹は出した状態だから、まだ貝殻の奥に目が入っていなかった。その目と目が合った。かわいらしいけれど、もう生気の失せた目がじっとこちらを覗いていた。死にゆく貝の目を見られることは滅多にない。 「もう頑張れない? もう無理?」と、その目に話しかけながら、それでも何とか元気になって欲しいと祈るように見つめていると・・・かすかにお腹の一箇所で息をしていることが確認できた。文字通り「虫の息」だったが、それでもスガイは生きようとしていた。 習性なのか、死にゆく貝はみんな最後は自分を守るように貝殻を閉じ、その目も口も奥にしまってしまう。最後の力を振り絞って、そのスガイもまた次第に身を奥へとしまっていった。現在、フタが半開きの状態ではあるが、ほぼ身をしまった状態になっている。わずかな望みを託して、岩につかまりやすいところに置いて様子を見ている状態だ。 私は昨日までまるまる2日ほどかけて、ある方のブログの全ての記事を読んでいた。それはもう書き手のいない、とある末期がんの方の闘病ブログだった。「死にゆくもの」の姿を見守ることは、その対象が人間であれ貝であれ、その他のどのような生きものであれ、何か独特の感情を湧き起こさせる。 どんなに亡くなってしまう確率のほうが高くても、見守る側も「ああもう無理なんだな・・・」と覚悟を決めざるを得なくても、それでもその人なり生きものなりは、最後まで生きようとする。スガイもフタを閉めてはいるが、まだすぐには絶命しないだろう。少なくともすぐ先ほどまで、お腹を出して身動きができなくても、腹の一箇所で息をしていた。 息を引き取るその瞬間まで、きちんと生き抜くその生き

ゼンスイ・TEGARU(テガル)レビュー:2週間目

まだ2週間目?と意外に思うほど、すっかりマツたちの生活に欠かせない存在となってしまったTEGARUである。 梅雨の晴れ間。今日の東京は暑かった。カーテンを閉めていても、カーテンを触るとすごい熱。午前中、一応はカーテンを開けてはみたものの、あっという間に室温が29度を超えたので、これは危険と、今日は水槽のある部屋のカーテンを一日中閉めていた。カーテンを閉めていても水槽の窓際部分は熱くなるので、車のフロントガラスなどによく使われる銀シートで断熱してみた。すると室温も27度台まで下がった。 TEGARUがあまりにも小柄で頼りなく見えるので、チラー式のZC-100αに買い換えることを前提で「お試し」購入しただけのつもりだったが、意外や意外、このTEGARUは思いの外頑張ってくれている。しかも「頑張ってますよ~」アピールをほとんどしないこの謙虚さも、なかなかオシャレ。というか、単に影が薄いというか・・・ たしかに、今日のような暑さの日は稼働時間は長い。だが、水温は確実に下がっていくし、設定温度に達すればピタッと止まって休むべきときはしっかり休んでいるから、無駄に稼働している感じはまったくない。力の弱い窓枠エアコンとの併用であっても、銀シートを併用することで室温は十分下がるので、ひょっとしたらこのまま夏を越せてしまうかも・・・と感じるようになったのも、ここ数日のこと。 うーん、それでもやっぱりZC-100αも使ってみたいのだ。贅沢な悩みである。能登との絆である車も予算の半額で車検に通り、お金も浮いた。だからなおさらZCを買ってみたい・・・でも実際には必要ないのでは?と、また悩み始めている。 ペルチェ式クーラーを叩くアクアリストは多い。しかし少なくともTEGARUはけっこう使える。私はもちろんゼンスイの回し者などではない。アクアリストと名乗れるほどの知識も経験もない。小学生の自由研究の延長みたいにして、大好きな能登の巻貝と一緒に暮らしているただの「変人」である。 もちろん各人の水槽の状況や環境にもよるから、一概には言えない。誰かの参考になればと思うので、少なくともこの環境ならTEGARUは有効であろうという意味で、以下に私の飼育環境を記しておく。 <私の飼育環境> 1.タテ・ヨコ44センチ、深さ34センチのアクリル容器を使用。フタがまだないので

アラレちゃん、セーフ。

「アラレちゃん」とは、シロちゃん亡き後、最後の1匹となってしまったアラレタマキビの抹茶ちゃんのことである。最後の1匹であるから、ここのところすっかり「アラレちゃん」と呼ぶのが定着してしまった。1匹だけ極端に小さな体だから、「アラレ」のほうがしっくりくるのだ。 シロちゃん亡き後、アラレちゃんもシロちゃんよろしく、マツその他の体の大きな貝たちに上手に甘えて背中に乗せてもらっていたが、ここ1~2週間、特に暑さが増してきてからは、単独行動が目立つようになった。 ボトルのガラスのフタ近くのところに「接着剤」をつけて、フタを閉めて、一人でポツンとしている姿がよく見られた。一日中そのままのこともあるので、心配になって、夜になると無理やりガラスから剥がして、水につけた後、餌場に置いてやると目を覚まして食べ始める。 何よりもアラレちゃんを見ていて心配なのは、接着剤で本人(本貝?)はしっかりガラスに貼り付いているつもりでも、一日たつと粘着力が弱くなるのか、夜は半分剥がれて、落ちそうになっていることだった。 昨晩もその姿を見て、後で水に浸して食事をさせてやらなければと思っていたのだが、うっかり忘れて寝てしまった。今朝、「点呼」を取ってみると、案の定アラレちゃんがいないので、大騒ぎとなった。 こういう事態を「大捜索願」と勝手に呼んでいるのだが、中に入っている他の貝たちをいったん全部外に出し、ポンプで水替えをするようになってからめったに動かさなくなった岩も全部どけ、どこかに落ちていないかと徹底捜索が必要になる。 出かける直前だったが、とても嫌な予感がしたので、嫌がるマツたちを無理やり外に出し、岩も全部どけてみたところ・・・アラレちゃんが見事に背中から墜落し、フタを閉めてジッとしているではないか。 何とかしようともがいて力尽きたのか、あるいは、フタを閉めて寝ている最中に「接着剤」が剥がれて落ちたばかりなのかは分からなかったが、慌てて取り出して呼びかけると、何とか少しは顔を出したので、一番安定のよい場所の一つである餌場のところに置いてやり、ワカメやヒジキもすぐに見つけられるようにセットして、不安な気持ちで外出した。 体の大きなマツたちが、うっかりアラレちゃんの上に乗ったりするようなことがあると、弱っていれば抵抗できないのでそのまままたボトルの底に落ちてしまうおそれ

ゼンスイ・TEGARU(テガル)レビュー:約1週間目

早いもので先週の6月3日(土)にTEGARUを導入して、もう1週間が経過しようとしている。ここ数日は、貝たちの様子を見つつも、真夏に備えて設定温度を今までよりも1度だけ上げた23度で調節をしている。 今日の東京はそんなに気温が高いわけではないが、梅雨入りしたこともあってとにかく湿度が高い。デジタル水温計にはさすがに湿度計はついていないので、ダイソーの温度&湿度計を水槽のそばに置いてそれを目安にしている。水槽のある部屋は中部屋ということもあって、エアコンを冷房モードにしただけでは湿度は60%以上行く。ドライモードにすると、ようやく50%を切るといった感じである。 そのせいなのか、TEGARUで以前ほど温度が下がらなくなったように感じている。以前はTEGARUがサーモスタットで自動オンになって稼働を始めると、せいぜい30分から1時間もすれば設定温度まで冷えて、その後は数時間ストップしていた。たとえ22度設定でもだ。ところが、昨日の夕方あたりからは稼働をしている時間が非常に長くなったと感じている。いつ見てもたいてい稼働中なのだ。これは以前にはなかったことである。 ペルチェ式は周囲の温度に影響されるのは知っていたが、周囲の温度がそれほどでなくても湿度にも左右されるのだろうか? そうだとしたら、扇風機で気化熱現象を起こして水槽を冷やすのとあまり変わらないかもしれない。扇風機の場合も、湿度が高くなると途端に効果がなくなったのだから。 分かってはいたことだが、やはりチラー式のクーラー(ゼンスイ・ZC-100α)に買い直す必要はありそうだ。ペルチェ式は稼働時間が長くなればチラー式よりも電気を食う恐れがあるし、何よりも突然の故障の確率が高まってしまうから危険なのである。5月末の猛暑以来、室温が30度に達することは今のところないが、28度近辺でこんなに稼働時間が長いのでは、ほぼ真夏には対応できないと考えてよいだろう。 私は今でもTEGARUが気に入っている。やはりこのコンパクトさ、デザイン性は素晴らしい。窓枠エアコンではないちゃんとしたエアコンの使える部屋で、湿度管理もある程度できるのであれば、10~20Lくらいの水量ならば真夏でも全く問題なく使えるはずだ。ペルチェ式だというだけで「あれは使えない」とすぐに言い出す人が多いのだが、環境さえ整えてやればこんなに文字通り

ボトルの入れ替えで大後悔・・・(涙)

スガイとイシダタミのボトルの入れ替えを行ったのが6月6日、一昨日のことだ。そのときはうまく行ったと思っていたのだが、どうも昨日あたりから何となくおかしな様子になってきて、今日になって#3のスガイ水槽に入れたイシダタミ2匹はいずれも具合が悪そうで、特にそのうちの中くらいの大きさの1匹が現在生死をさまよい始めている。 そのイシダタミは、一晩でこんなに痩せるものか?とびっくりするほど、お腹が「骨と皮」だけのようになっていて痛々しかった。もちろん骨なんかないのだが、彼らはお腹の肉の裏側に細い毛のようなものがたくさん付いていて、これを足代わりにして素早く移動する。その毛が丸見えになっていたのである。 スガイの汚した水槽だから、食べられるコケはたくさんあると思ったのだが、口に合わなかったのだろうか? それとも何かコケに異常があって、お腹でも壊してしまったのだろうか? #3のイシダタミ水槽は放っておいても調子がよいと書いたばかりだが、私が変にいじくったことで容易に安定が崩れてしまった。慌てて調子の悪くなった2匹を元の#1の調子のよかった水槽に戻したが、既にスガイたちが入っているせいか、元通りには戻らなかった。 そのため、今日(6月8日)は、丸一日彼らの様子を見ることに神経を使い、まったく他のことができない状態だった。ちょうど休みの日だったからまだいいようなものの・・・ 本当に具合の悪くなった貝は、#2の最も安定したマツたちの水槽に入れてやると復活することがある。以前も餓死寸前で瀕死のイシダタミ2匹を入れてやったら、最初はなかなか馴染めないでいたのだが、今やすっかり他のタマキビたちともうまくやっていて元気いっぱいである。 #2は定員オーバー気味ではあるが、小さなイシダタミ2匹のことだからと、取りあえず入れてやった。小さいほうの1匹はしばらくすると元気にいつも通りに動き出したから、これは大成功。だが、瀕死状態のもう1匹は岩に乗せてやっても、すぐに転げ落ちてしまう。そのうちお腹を触っても反応が鈍くなり、かなり危険な状態である。 何かが安定しだすと、すぐにいじってみたくなる。その衝動性が私の人生を滅茶苦茶にしてきた。今回はそれによって、一昨日までものすごく元気だったイシダタミを殺してしまうことになるかもしれない。責任の重大さを感じて大変落ち込んでいる。 今

ボトルの入れ替え:スガイ←→イシダタミ

昨日(6月6日)は仕事から帰ってきた後、久しぶりに数時間かけて丁寧にマツたちの世話をした。まずはマツたちタマキビが主に入った#2のボトルの換水。ダイソーの水用ポンプの使用にもすっかり慣れて、楽ちんである。換水専用のポンプをわざわざ使わないでも、先の尖った真っ直ぐなパイプ部分が底砂の汚れや下に落ちたエサの残りも吸い取ってくれるから、けっこうきれいになる。不器用な私が貝たちを長時間待たせて彼らの顰蹙を買いながら(?)何度も岩組みをやり直すよりもずっとスマートだし、貝たちの負担も少なくて済む。 ↓水用のポンプは、灯油用のポンプの赤の部分が白になっただけのもの。こんな感じ。 ここのところ、#1のボトルのスガイ2匹がどうも元気がないので、試しに放っておいても調子のいい#3のイシダタミのボトルに入れてみたら、見る見る間に元気になって驚いた。#1のボトルのいったいどんなところがまずいのだろう? こまめに換水もしているのだが、いっこうに状態がよくならないので困り果てている。その一方で、#3は気づけばもう1ヶ月も換水していないが、水が臭くなるどころかイシダタミたちが働き者なのでガラスもピッカピカになり、さわやかとは言えないまでもごく普通の潮の香りがただよっている状態だ。 #3には藻や謎の水草が生えて、あまりインテリアにはこだわっていないのに、自然にきれいな景観ができあがっていることには気づいていたが、よく見るとその水草の間にフンのようなものがたくさん落ちている。換水していないから仕方がないと思っていたのだが、割り箸で突付いてみると、これはデトリタス化(?)したフンらしいと分かってきた。もしかしたら、これのおかげで水槽が驚異的に安定しているのかもしれない。まさに本物の潮溜まりに近い状態と言える。なぜ#3がこんなにうまく行っているのかはよく分からないままだから、ひとたび安定を欠いたときのことを想像するとちょっと怖くもある。 #3のガラスがピカピカということは、イシダタミのエサが少なくなっている恐れもあるということなので、以前から計画していた通り、これを機会に#3のイシダタミ2匹を空っぽになった#1のスガイのボトルに移してみた。要するに#1と#3の中身の生体を丸ごとそっくり2匹ずつ入れ替えたということだ。イシダタミは与えたエサはあまり食べず、ガラスにくっついた藻や自然発

ゼンスイ・TEGARU(テガル)レビュー:3日目

TEGARUの2日目のレビューを書かなければと思っているうちに3日目も終わり、記憶がごっちゃになっているので2日目は飛ばして3日目。 先日 書いた水温計とにらめっこしながら、TEGARUの機能面をチェックする日々が続いている。 今日(6月5日)は、一日中22度を目標温度にしたままで様子を見た。その結果、水温の最高は約23.5度、最低が約21.5度と、だいたい2度以内の変動に収まっている。では、室温はと言うと、最高が約28.5度、最低が約18.5度(明け方冷え込んだので)と、何と10度の差があったのである。この状況下で、水温の変動を2度の差まで縮めてくれているのだから、なかなかTEGARUは頑張っていると言えよう。明け方には温め機能もオンになったのではないだろうか? ただし、たしか2日目の昨日は22度設定の場合、水温が22.5度を超えるとすぐに稼働を始め、それほど時間もかからずに温度を下げてくれていたので、23度以上になることはなかった。今日はそれが23.5度まで達していたので、ちょっとショックであった。室温の最高が28.5度だったときに、水温を下げるのに時間がかかったのかもしれない。今の時点で室温が28.5度というのも、TEGARUには全く責任のないことだが不安要素である。 マツたちは昨日に続いて、昼間の「お昼寝」の時間帯にも殻に閉じこもることはなくお腹を出したままリラックスして眠っていたから、TEGARUの導入で快適に暮らせるようになったことはたしかだ。だが、スガイのボトルだけはどうも調子がよくない。TEGARUで冷えすぎるのか、今ひとつ元気がないのである。同じ巻貝と言えども、磯で好んで生活する場所は種類によってやはり違うし、同じ温度設定で一緒に生活させるのは本当はよくないのかもしれない。この辺りはもう少し経過観察が必要である。 ↓私の使っている水温計に最も近いタイプのものはコチラ。 【関連記事】 ゼンスイ・TEGARU(テガル)の関連記事<まとめ>

ゼンスイ・TEGARU(テガル):マツによる初日の「フィードバック」

私は毎晩涼しくなってから、アクリル容器の中に入れてあったマツたちのボトルを一つひとつ取り出して、健康状態チェックを兼ねた「点呼」と餌やり、および彼らとの「会話」を行う。TEGARUを設置した6月3日の夜遅くにも、いつも通りそれを行った。 そのときのマツたちとの「会話」によると、TEGARUを導入したことはどうやら好評のようである。ボトルのフタを開けると、背中の貝殻からルンルンと音符が飛び出してきそうなくらいゴキゲン♪な彼らがいた。暑くなって以来、こうした姿を見るのは久しぶりだった。どうしてそれが分かったかというと、今まではフタを閉めてボトルの縁に貼り付き、夜になって涼しくなってもそのままの姿勢で食事すらしなかった彼らが、全員「潤って」いたからである。 特に水嫌いのタマキビたちは、環境が少しでも気に入らないとずっと「引きこもり」になってしまう。下手をすればそのまま死ぬ恐れもあったから、毎晩わざと水に落として海水浴をさせていたほどなのだ。それが、TEGARUを導入してからは、自発的に適度に海水浴もした上で、食事もしっかり取るようになったのである。全員元気に動き回り、貝殻だけでなく、身も潤って輝き、ツヤツヤしていた。 中でもマツは、その「ゴキゲン度」を私にきちんとアピールしてきてくれたので分かりやすかった。「マツ、クーラー入れたんだけどどう? 快適になった?」と話しかけると(具体的にどう話しかけているのかは、後日また記事にする予定)、こちらのほうにエサがあるわけでもないのに駆け寄って(?)きて、私のほうをしっかりと見つめながら、身を全開で乗り出してツノを振ったのである。こんなに全身でツノを振っているマツは、非常に珍しい。エサがおいしかったときでも、せいぜいツノだけ動かして反応する程度だからである。偶然かな?と思い、もう一度同じように尋ねてみると、また同じ反応。うーん、これは間違いがない。マツは超ゴキゲン♪のようである。 水温が21~23度程度というのは、扇風機で気化熱現象を起こしていたときとさほど異なるわけではない。では、なぜマツは「いつもと違う」と感じ取って、喜んでくれたのであろうか? その理由は、マツのボトルを触ってみてすぐ分かった。 ボトルまで冷たい! そこで私はふと思い出した。ゼンスイの商品カタログには「クーラー選びは水量だけで行わな

ゼンスイ・TEGARU(テガル)レビュー:初日

昨日から使い始めたペルチェ式アクアリウムクーラー、ゼンスイ・TEGARU(テガル)であるが、昨年からの新製品ということもあって出回っている情報も少ないので、気づいたことを少しずつレビューしていこうと思う。まずは昨日、初日の分。 昨日夕方に開封。設置には1時間弱というところか。思ったほど設置は「手軽」ではなかった。本体の大きさが違うだけで、ホースの配管の仕方などはおそらく本格的なチラー式とほぼ同じだと思う。そもそも水槽用のクーラーなどというものを今まで使ったこともなければ、原理すらよく分かっていないのだから、紙1枚の両面にビッチリ小さな字で書かれた説明書を読んでも、最初はチンプンカンプンで不安になった。ゼンスイはせめてTEGARUに関しては、もうちょっと初心者にも分かりやすいように、大きめの文字でカラーの説明書くらい付けてもいいのではないだろうか? ↓TEGARUの取扱説明書はコチラ。 http://www.zensui.co.jp/wp/wp-content/themes/zensui/pdf/manual_pdf/tegaru_torisetu.pdf TEGARUはスタイリッシュに見せるためなのか、内径8ミリの細めのホースを使用する。これは最初から1.8mのものが付属していた。私の持っているカタログには2.3mくらいと書いてあったはずだが、昨年のものなので長さが変わったのだろうか? 1.8mでINとOUTの2本分を確保するのはかなりギリギリであり、これにはかなり不満。せめて2.3mは欲しかった。 しかも、内径8ミリのホースはアクアリウムでは一般的とは言えない。最も汎用性の高いものは内径12ミリだ。このホースを、以前から使っているポンプ、カミハタ・リオプラス800に接続するのだが、当然ながら、リオプラスは内径12ミリのホースを必要とする。そのため、TEGARUとの接続には「異径ジョイント」という変換プラグのようなものを使わなければならない。 ↓私の使っているカミハタ・リオプラス800と同じもの。50Hz用と60Hz用に分かれているので注意が必要。 TEGARUには親切にも最初から異径ジョイントが2つ付属しているが、これを使うと流量が落ちるので、やはりホースは一般的な内径12ミリを使って欲しかった。実際、リオプラスは8L/分なのに

「迷ったら安いほうを買っておけ」というのは、ある意味正しい。ただし・・・

買い物で迷ったとき、どちらを買うか、あるいは見送るかというのはけっこう難しい。今回の水槽用クーラーの件もそうだった。私の環境にピッタリな製品はなかったからだ。 TEGARUにしたことがよかったかどうかは、まだ先にならないと分からない。ただ、一つだけはっきりと「失敗した」と感じたことがある。それは、もう2ヶ月も迷っていたのだが、その間にさっさとどちらでもいいから買っておけばよかったということだ。そして、どうせ迷ったまま買うのだったら安いのを買っておくほうがリスクも少ないので、TEGARUを選んでおけばよかったということである。この2ヶ月、かなり水温管理に苦しんだ。取りあえずでもTEGARUを買っておけば、その苦労が軽減されたのは間違いないのである。 一言で言えば、一番の損失は「時間」だった。決断が遅れたことで、ショッピングのポイントなども付くのが遅れてしまっているし、そのため次の買い物ができないし、いろいろと他の予定も押してしまうようになっている。そして、何よりも暑さでバテてしまった貝たち(特にリーダーこと長老)を救えたのではないかと思うと、いたたまれない。本当に馬鹿だった。 どちらを選ぶか悩みに悩んで、最後は「買い物で迷った時」などというキーワードでネット検索をしていた大馬鹿な私であるが、その中に「買い物で迷ったら安いほうを買っておけ」と書かれたサイトがあった。この内容は今考えれば、ある意味正しかったと思う。(以下のURL参照) 「迷ったときは、安い方を買え。」 http://yusb.net/col/613.html ここでは「安いほう」というのを基準にしているが、これは「手頃なほう」と言い替えても問題ないと思う。たとえ値段がもう一つのものより高かったとしても、自分にとって「手頃で取りあえず使いこなせると思うもの」を買っておけば、たぶん後悔はしない。そして、大抵の場合はそれはよりシンプルな「安いほう」になるということだ。 ただし、これを実践するためには「即決すること」という条件が欠かせないと私は考える。即決しなければ、安いほうを買ってもうまく行かなくなる確率が上がってしまう。安いほうを買っておく利点は、エラーしたときの損失を抑えられる点にある。その損失はお金だけではなく、時間や労力も含まれている。迷う時間が長いほどそこにかけた時間も労力も

ゼンスイ ・TEGARU(テガル)を、結局、買ってしまった・・・

何をトチ狂ったのだと言われても仕方があるまい。あんなにチラー式でなければダメだと一度は 断念 したのに、こともあろうにペルチェ式のゼンスイ・TEGARUを購入してしまった。別に値段が安かったからではない。どうしても「使ってみたかった」からなのだ。これが吉と出るか凶と出るかはもちろん分からない。たぶん失敗だと思うが・・・ しかし、私は一度特定のものに興味を持ってしまうと、そこから自分を引き剥がすのが大の苦手だ。その姿勢を研究熱心だと評価してくれる人もいるが、私自身は単に要領が悪くて不器用なだけだと思っている。子どもの頃からこれで何度失敗を重ねてきたことか。特に受験と買い物で。ただし、今回の場合は梅雨明けまで様子を見て、そこでダメだと思ったら、チラー式のゼンスイ・ZC-100αを追加購入すると決めているから、やり直しは利く。受験のように失敗したら終わり、ではないのだ。マツのためなら出費は惜しまないと誓った上での決断だ。そのためにも、少し仕事の量も増やそうと思っている。 実はアパートの室温が異常に高いのは、日当たりがよいせいだけではなく、入居当時から壊れていた通風口を虫の侵入対策のために養生テープでガチガチに塞いでしまっていたことと関係があるのでは?と考えていた。そこで不動産屋に「エアコンをつけているのに室温が30度を軽く超える」と相談したところ、熱中症になられては困ると思ったのか、即、大工さんを呼び、直してくれた。 部屋の一角の15センチ程度の丸い部分から通ってくる風は、量としては大したことがないのだが、大工さんの作業中にも既に「涼しい」と感じるほど生活には大切なものなのだと分かった。通風口のパーツをよいものに取り替えてもらい、使い勝手も向上。これによって、まず部屋全体の湿度が下がった。結果として部屋全体の温度も2度くらい下がったように思われる。猛暑日と重ならなかったから、本当にそのせいなのかどうかはまだ分からないのだが。それで、ペルチェ式を使ってみたい、と思った。 また、真夏にこのアパートで窓枠エアコン1台でやり過ごすのはほぼ無理だろうという結論にも達した。以前のアパートでは北側に設置していたから6畳2間を6畳用の窓枠エアコン1台でいけたが、今のアパートは設置するのが東側になるため、どうしても冷却効率が劣る。あまり日当たりのよい部屋というのも

思いもかけぬ高機能水温計

昨日 書いた温度計兼水温計だが、最高・最低の記録が室温か水温のどちらかしかできないというのは私の勘違いで、実際には両方の最高・最低の記録が残る、思ったよりもずっと高機能なものだった。メーカーのパッケージに入ってしまうと倍の値段だが、むき出しのままで購入するとたったの830円になるなんて、本当にいい買い物ができた。 気に入ったので、最高・最低を記録するために、室温用、水温用に2つ買おうかと思っていたが、1つで両方の役割を持つので必要なさそうだ。だが、このアパートは部屋によってものすごく温度差があるので、あと2つくらい買って、あちこちに設置するのも悪くないかな?と思っている。電池も一度取り替えれば1年くらいもつそうだ。 ↓メーカーのパッケージ入りの正規品(?)はコチラ。

宇出津のワカメが静かなブーム

我が家の「シタダミ」たちの間では、今、宇出津のワカメが静かなブームを呼んでいる。巻貝の種類にかかわらず、スガイもタマキビもイシダタミも、このワカメをそこそこ気に入っているようだ。このように汎用性のあるエサは、私にとっても大変助かる。 これは3月末から4月初めにかけて奥能登に出かけたとき、大量にスーパーで買ってきた生のワカメのうちの一つである。保存のため、一部は冷凍、一部は物干しハンガーでベランダで干した。今回は干したほうを海水で戻して与えたが、手の加わったものは嫌うスガイでも、これは喜んで食べているようだ。 能登は少なくとも4種類の海に囲まれていると以前の記事に書いた。私がこの前手に入れた生ワカメは、宇出津、七尾、輪島の3箇所のものであるが、それぞれに地名を書いて別々に保管している。七尾や輪島のワカメも、マツは食いしん坊なのでけっこう食べてくれるのだが、他の貝たちからの人気はそれほどではなかった。しかし、この宇出津のワカメは全然食いつきが違うのである。 そもそも私が干しワカメにした時点で、この宇出津のワカメだけは見かけもちょっと違った。色が一色ではなくて、何か塩が浮いたような白っぽいポツポツがたくさんついた状態になったのだ。実際には塩ではなくてワカメの一部が指のささくれのような形になっているようなのだが、これはひょっとするとかなりの高級品なのではないだろうか? それとも、単純にワカメの種類が違うだけなのだろうか? 私は高級品なのではないかと思っている。なぜなら、食べてみると明らかにこの宇出津のワカメがおいしいからだ。干しワカメはサクサクとスナックのように食べられるのだが、口の中での潮の香りの広がり方が全然違うのだ。放っておくとマツたちのエサにするのを忘れて、私が独りで食べ尽くしてしまいかねないので、普段は目につかないところに隠してある。 マツたちにもやはりその違いが分かるのだろう。おそらく嗅覚は人間の何百倍もあるだろうし、この宇出津のワカメの香りを楽しんでくれたらいいなと思いながら、毎度食べさせている。これをやった翌日は、マツだけでなく他の貝たちもみんなゴキゲン♪だ。

ペルチェ式のゼンスイ TEGARU(テガル)~それでもやっぱり使ってみたい~

チラー式にする「しか」ない今のアパートの状況を思い知らされ、かなり落ち込んだ。私は不器用過ぎるため、大きなものを扱うのがとても憂鬱なのだ。必ず何か落としたりぶつけたり、あるいは配線や配管などで混乱してしまったりするからだ。 ゼンスイのZC-100αは、アクアリウムをやっている人たちの間では1位、2位を争うほどの人気商品であり、その機能のよさに疑いの余地はない。夏場に安心して宿泊を伴う旅行もできるだろう。だが、小さな容器でマツたちのような「シタダミ」を10数匹飼っているような状況の私にとっては、はっきり言って「大げさ」な装置であることはたしかなのだ。本格的なステレオのスピーカーぐらいの大きさがある。重さもたしか10キロぐらいだ。 それに比べて、同じゼンスイから昨年発売されたTEGARU(テガル)というその名もズバリなペルチェ式のクーラーは、小型で軽量という意味でやはり非常に魅力的であり、「もしかして使ってみたら、ひょっとしたらひょっとしてうちの環境でも使えちゃうかも???」などと、淡い期待を寄せてしまう。 TEGARU(テガル)が魅力的だと私が感じた点をいくつか挙げてみよう。 1.デザインセンスがよい。白を貴重としたスタイリッシュなデザインである。実用的、かつ見栄えがよい。しかも、電動鉛筆削りぐらいの大きさで、プラスチックでほとんど作られているのでものすごく軽い。ボトルアクアリウムには、バランス的にうってつけなのである。 2.ペルチェ式の原理を使って、事実上のヒーター機能も付いている。水量の少ないボトルで飼育する上で大変なのが、季節の変わり目の朝晩の温度変化だ。3月、4月あたりは随分気を使ったが、この時期にもしTEGARUの存在を知っていたなら守れた生命があったかもしれないとすら思う。昼間は日に当てると25度、夜間は15度まで下がるという環境だったからだ。貝類の場合、寒さには強いとは言え、日中との温度差を少なくしないとやはり弱る。 3.必要なホースなどが最初から付いてくるので、初心者にもすぐに使える。ポンプやフィルターなどは別購入が必要だが、それらはクーラーを使う上では必須のものだから特段追加の出費とは感じないだろう。 4.外付けのポンプやフィルターが大流量である必要がない。逆に言えば、大流量のものが付けられない小型の水槽ならTE

おとなしくチラー式にしよう。

デジタルの温度計兼水温計を買った。最高温度と最低温度を記録できる。これでたったの830円だった。以下のURLと全く外観は同じだが、ノンブランドでパッケージもナシのものである。 室温を測る時は内部センサーを使用し、水温を測る時は投げ込み式のセンサーを使用する。スイッチを切り替えれば、その場で室温と水温の両方が測れるスグレモノ。ただし、最高温度と最低温度の記録は、室温と水温の兼用であって、別々には行ってくれないので注意が必要だ。 早速動かしてみるとびっくりである。軽く室温が30度を超えていた。マツたちの水槽の近くは窓枠エアコンをガンガンにきかせていたものの、それでも30度ちょっと手前の29度台。 今までのクーラー選びについての迷いは、実は全くの無駄であったと思い知らされた。このアパートは本当に風通しが悪い。そのくせ、日当たりだけはよい。5月の今の時期、しかも天気予報では29度くらいと言われているこの日に室温が30度超えだったら、ペルチェ式なんてもっての外である。 ペルチェ式は外気温に左右される。30度を超えると、その機能を発揮できなくなる。手間はかかるが、おとなしくチラー式のゼンスイのZC-100αにするしかない、と覚悟を決めた。

日中の室温30度/リーダー(長老)とのお別れ

今日(5月23日)は、日中の室温は30度近くなっていた。冬はすき間だらけで寒いくせに、夏は何故か空気の通りが悪い木造アパートである。私は寒いのは平気なのだが、暑いのと湿度が大変苦手だから憂鬱だ。それはきっと貝たちだって同じだろう。そして、夕方には風も出てきて涼しくなった。少し肌寒いくらいだった。この寒暖差が怖いのだ。 仕事から夜9時過ぎに帰宅してマツを叩き起こそうとしたが、ちょこっとだけフタを開けてはいたが、出てこようとしない。暑さに相当参っている模様である。他のタマキビたちは夕方になって涼しくなったと気付いたのか、全員お腹を出していつも通りの姿だった。アラレタマキビの抹茶ちゃんもたくましく生きていた。ただし、仕事に出かける直前にチェックしたら、他のタマキビの背中に貼り付いたまま爆睡して落ちそうになっているのを発見したので、念のためレスキューしておいたが。シロちゃんのときはこれを見逃してしまったから、死んでしまった。あのとき、米屋とのトラブルでシロちゃんが犠牲になったことを、いまだに受け入れられずにいる。私は死んでしまった貝たちは、冷凍庫で保管して次回能登の海に返せるようにしているのだが、シロちゃんだけはどうしても冷凍庫に入れられない。冷凍庫に入れてしまったら、全て終わってしまう・・・という気持ちがある。 また、別容器で様子を見ていたリーダー(長老)はやはり駄目な感じである。お腹の色が変わってきてしまっているし、少し臭うようになってきた。悲しい。ゴエモンの死をきっかけに最後に語り合った時のことが、今でも懐かしく思い出される。「人も貝も、いつかみんなゴエモンと同じようにお別れするんだよ。でも、そんな中でせっかくこうやってご縁があって一緒に暮らすようになったんだから、その時までは楽しく暮らそうね」と話しかけ、リーダーも一生懸命こちらを向いて聞いていた(彼らに聴覚はない。しかし、だからと言って、話しかけていることが通じていないわけではないと、私は感じている)のだが、そのお別れがこんなに早く来るとは・・・ リーダーはあのとき、自分がもうあまり長く生きられないことを、もう分かっていたのだろうか? スガイの特徴である目の上の眉毛のようなものが、リーダーの場合は年のせいか他の個体よりももっと長くて立派で、だいぶ昔の社会党の某総理大臣のようだった。あの顔が忘れられない。死ん

今度は真夏日。リーダー(長老)とはお別れかもしれない。

昨日にも増して今日の東京は暑かった。都心では今年初の真夏日とのこと。ここからそう遠くない群馬県の館林市では35度を超える猛暑日だったという。だから、どちらかと言えば私の住まいの近辺は、猛暑日に近い状態だったと推測できる。こんなこともあろうかと、エアコンを朝7時過ぎからタイマーでオンにしておいたのは、かろうじての救いだった。だが、どんなに頑張っても、水温は24度まで下げるのが精一杯だった。 暑さのせいか昨日から元気がなかったリーダー(長老)だが、もしかしたらもう駄目かもしれない。毎晩、夜になって少しだけ涼しくなったとき、エサや健康チェックのためににボトルのフタを開けて「点呼」を取る。先ほどもそうしたのだが、昨晩休ませるために置いてやった場所からリーダーは動いていなかった。もしや・・・と思い、ボトルから出してみると、顔を除いたお腹をほとんど全部出したまま反応がない。指で触ってみると、生きていればすぐに身を引っ込めるのだがそれもなく、死後硬直と思われるような若干の硬さが感じられた。もう一晩様子は見てみるが、なにぶん高齢と思われるリーダーのことだから、覚悟しなければいけない。リーダーに関してはそう長くは生きられないだろうと予測はしていたが、いざその時がやってくると受け入れられない。 リーダーとはけっこうコミュニケーションが取れていた。平和主義で無口で自己主張をせず、おまけに神経質で臆病ときているスガイとはなかなか「語り合う」ことができなかった。だが、その中でもリーダーはここ数ヶ月で私に心を開いて(?)くれていた。特にゴエモンが死んだ時は、体の弱いゴエモンのことをリーダーは普段から気遣っていただけあってショックだったのか、ボトルの縁まで上がってきて私の目をじっと見て何かを訴えようとしている姿を見せていた。あの時のリーダーの集中力は今でも忘れられない。少なく見積もっても20分か30分、「言葉」を交わしたのを覚えている。もちろん、本当の人間の言葉なんかではない。ただ、目と目で語り合うというか、そんな時間があった。ひとしきり「話」が済むと、リーダーはまたボトルの奥のほうに戻っていったから、その後ろ姿を見て、やはり何かが通じ合っていることを私は確信したのだった。 巻貝が身を出したまま死ぬというのは、大変珍しい。餓死だったり、病気だったりという場合は、たいてい最後はフタをほ

夏日の東京

今日(20日)の東京は夏日で、8月半ばくらいの気温とニュースで報じていた。都心部で28度だったかで、東京の外れでは30度超え。私のアパートはもちろん東京の外れも外れの県境。エアコンがあったので気温は測っていないが、30度は超えていただろう。窓枠エアコンを20度設定で一日中回しながら、扇風機で気化熱現象を使って、マツたちのボトルの入ったアクリル水槽の水を冷やしたが、22~23度まで下げるのが精一杯だった。室温は25~26度までしか下げられなかった。真夏になったら、毎日こんな日が続くのかと思うと憂鬱だ。水槽用クーラーを早く買ってやらないといけない。 マツたちタマキビグループは水が嫌いで地上にいるから、一日中、暑さを防ぐためにフタをして殻に閉じこもっていた。大丈夫かと心配したが、夜になって涼しくなると大きな伸びをしながらフタを開けて顔を出し、すました顔で入れてやったヒジキをパクついていたから、ヤツらはなかなかの大物である。マツがフタを開けたら、閉じこもっていた間にしたと思われる大きな糞がゴロゴロと出てきた。惚れ惚れするほどいい糞であったので、思わず写真に撮った。何を食べていたのか、ヒジキでもないようだし、どうやら色からすると昨日か一昨日に入れてやった、輪島産の生ワカメ(冷凍保存)ではないかと思う。 スガイグループは、暑さにけっこう参っていた模様である。特に高齢と思われるリーダー(長老)は、バテた顔(=目)をしていた。スガイは無口(もちろん他の種類の貝たちも「言葉をしゃべらない」という意味では「無口」かもしれないが、言葉がないだけで実際には「多弁」「雄弁」であると私は感じる)だが、とても繊細で神経質なところがあり、温度の変化や水槽内の臭いなどで簡単にバテてしまう。だから、飼い主としてはハラハラさせられる。本当はもう少し水の中に潜れるような岩組みが必要なのだが、不器用すぎて今のところなかなかいい岩組みができない。岩組みは崩れると危ないので、どうしてもガッチリ組む。その結果、すき間がなくなってしまう。スガイは体が大きいため、小さなすき間だと水の中に入っていかれない。 イシダタミグループ(普段は「シタダミグループ」と呼んでいる)が一番元気だった。天気がいいせいか岩に藻がたくさん生えているらしく、忙しそうに動き回ってはモグモグと食事をしていた。イシダタミの健康状態は、動

マツの大好物(その2)

マツの大好物として以前、中国産の干しわかめを紹介したが、実はそれ以上の大・大・大好物がある。それは韓国産の乾燥ひじきだ。奥能登にいたとき、食品も扱うドラッグストアで小さなパックに入って100円くらいで売られていたものである。ヤマナカフーズの「姫ひじき」という製品だ。当時はまさか貝を飼うことになるとも思わず、もちろん自分が食べるつもりで買ったのだが、何となく水で戻すのが面倒くさくて調理しないでいた。マツに何を食べさせたらよいかとあれこれ試しているときに思い出したのが、このとき買っておいた「姫ひじき」の存在である。 ものは試しと海水でふやかしてからマツに食べさせてみると、それはそれはよく食べるので驚いた。乾燥ひじきを巻貝のエサに使えるというのは、今のところ私の知る限りでは、貝類の飼育法を書いた書籍には載っていない情報であるから、実は大発見なのでは!?と密かにほくそ笑んでいる。奥能登の海にももちろんヒジキはあるのだろうが、他の海藻類が豊富なのであまりメジャーな食材とは言えない。マツもおそらく奥能登の海では、ヒジキをメインディッシュにしていたわけではないはずだ。だから、なぜそんなにマツがヒジキを好むのかは謎である。 今飼っている貝たちの中でヒジキを目に見えてよく食べるのは、マツたちタマキビだけだ。そしてマツはその中でもダントツでこの「姫ひじき」がお気に入りである。スガイやイシダタミたちは、ヒジキにはほとんど手を付けない。たまたま私が持っていたのは「姫ひじき」なのだが、その名の通り細く短いものばかりだ。しかしどうもマツは本当は太めのひじきのほうが好きなようなので、できるだけ太めの部分を選んで入れてやっている。今度機会があったら、値段は張るだろうが、もう少し太めのひじき(いわゆる「ごんぶとひじき」)を食べさせてやろうかと思う。先日能登で手に入れてきた生の海藻類も食べてはくれるものの、どういうわけかそれでもやっぱりマツはこの韓国産の「姫ひじき」が一番好きらしいから参ってしまう。 数日前、ここのところ能登の生の海藻ばかりを食べさせていたので1ヶ月ぶりに「姫ひじき」を入れてやったところ、マツの喜びようと言ったらなかった。いつもは2~3本も入れれば十分なのだが、何本入れてやってもすぐに食べ尽くしてしまうのだ。あまりにすぐに入れたヒジキが「消える」ので、マツがその大きな貝殻に

エアコンの移動作業と、その間の水槽の温度管理

私がプライベートで文章が書けなくなるときは、心の余裕を無くし始めているときだ。そしてそれが結果的というか「共時性」的というか、水槽の安定を欠くことにもつながりかねない。ここ数日多忙のためにブログの更新もできなくなっていた。こうした余裕の無さが、マツたちに影響しはしないかとビクビクしている。 昨日、今日とまた東京は暑くなってしまった。昨日は、水槽用のクーラーを設置してマツたちのボトルを入れることになるアクリル容器が置かれた隣室に窓枠エアコンを移動すべく、人に手伝ってもらって大変だった。既に手伝ってもらうのは2回目なのだが、それでもまだ終わらず、明日、もう一度来てもらう約束をしている。 作業中、アクリル容器の中に入ったたくさんの藻のついた岩は重すぎるので全てたらいに移し、風呂場へ持って行った。残ったアクリル容器は水量も少ないので海水を入れたまま、同じく風呂場へ持って行った。 いつもなら、このアクリル容器の中の水をポンプで回し、そこに扇風機を当てることで気化熱現象にて水温を維持しているが、それができない状態となったため、作業中、マツたちのボトルについては私の寝室の窓枠エアコンの真ん前に置いて、ボトルごと冷やすという強硬手段を取らざるを得なかった。 その後、作業が一段落してアクリル容器を隣室に戻し、数時間扇風機を回してやっと水温が下がったところで、ようやくマツたちのボトルをその中に収め、いつもの状態を作り出すことができた。 取りあえず今のところマツたちは元気ではあるし、水温自体は一日中ほぼ20度で安定させられたことにはなる。しかし、彼らは水上にいる時間も長いから、気温の変化は大きかったのではないかと案じている。 直接ボトルにエアコンを当てるような状態だったので、そのときはボトル内の空気自体も20度近くまで下がっていただろう。だが、いつもの隣室に移した後は、気化熱現象で水温は20度に保てていても、周囲の空気は25~28度くらいだったはずである。 この温度差が彼らの体調を崩すことにつながらなければいいのだがと、少々不安である。明日ももう一度アクリル水槽をどけて作業をしなければならない。マツたちがそれに耐えてくれるようにと、祈る気持ちである。 ↓私が使っている窓枠エアコンはコレ。

平和。

ここのところ、水槽の状態は比較的安定している。体調を崩している貝もいないし、毎晩エサをやりながら彼らとのコミュニケーションを楽しむ余裕もできた。こういう状態がいつまでも続けばいいのだが、一度安定が崩れると次から次へと具合の悪くなる貝が出てくるからやりきれない。毎朝、「今日も一日平和に暮らせますように」と祈るような気持ちでボトルのフタを開けて、彼らに「おはよう」とあいさつする。 先日ネットショップのゴタゴタが原因でシロちゃんを失ったことは、今でもまだショックである。シロちゃんは病気などで弱っていたわけではない。完全に私の監督責任だと思っている。もう少し早くに落下に気づいてやれれば、十分に助かった命だったのに。最後のアラレタマキビとなってしまった「抹茶ちゃん」が1匹だけ残っていて元気に暮らしてくれているが、抹茶ちゃんを見るたびにシロちゃんのことを思い出す。抹茶ちゃんも、一人ぼっちになって寂しいのではないかなと想像している。 今日の各ボトル内の状況を記録しておくと、#1にスガイ3匹、#2にタマキビ5匹、アラレタマキビ1匹、居候のイシダタミ2匹、#3にイシダタミ2匹である。

水温計を2本追加。

先日、水温計を新たに2本追加した。もちろん(?)ダイソーのものである。水槽システムが複雑になったのと、暑くなってきてあちこちの水温が気になるようになったため、今までの本数では足りなくなったのである。また、最初に購入した太めの水温計が読みづらかったので、細めのもので統一したかったというのもあった。 その前にダイソーに行ったときは、細めの水温計は売り切れてしまって太めのものばかりが残っていた。やはりみんなよく分かっている。太めのほうが0~43度の範囲でしか計れないのに対して、細めのほうは0~50度まで対応している。おまけに小さな水槽用に作られたものとは言え、目盛りがとても読みやすいからある程度大きめの水槽でも十分使い物になるのだ。 今回は太めのは前回同様、大量に残っていたのに対し、細めのは3本だけギリギリで残っていたので、しっかりゲット。3本のうち1本は明らかに温度表示が高すぎたので、これは狂いがあると判断して2本を選んだ。 帰ってきて早速使ってみると、使いやすい、使いやすい。マツたちをときどきたらいの中に入れて扇風機の気化熱で冷やすことがあるが、そのたらいにも付けやすいし、岩を入れている大きなアクリル容器の中にも付けやすい。もちろん目盛りが見やすいのは言うまでもない。 ただしそのうち水槽用クーラーを導入して機械任せの温度管理となってくると、このシンプルな水温計では物足りなくなるかもしれない。不在時の水温も管理しておかなければ、ある日突然とんでもない数値になっていることだってあり得るからだ。その日の最高・最低を管理できるデジタル水温計を見つけたので、多少値は張るがアクリル容器用に1本だけは手に入れようと思っている。 なお、ダイソーでは同じような用途のもので複数の種類がある場合に番号で区別をつけているのだが、私が言うところの太めのものは2番、細めのものは3番である。興味のある方は、ダイソーのアクアリウムコーナーに行ったら、パッケージに「③」と記された水温計を探すとよい。この製品は本当にオススメである。もちろん厳密な温度管理を必要とする生体を飼育している場合は避けたほうがいいが、だいたいの温度が分かればよいのなら、これで十分だ。

水替え用のポンプ、再び。

先日、アクアリウム用の水替えポンプを買ってきたらうまく行かなかったと書いた。その後、再度ダイソーに行き、灯油用のポンプと全く同じ形をしている「水用ポンプ」というのがあったので迷わず購入した。まさにイメージ通りの商品だった。「灯油用」と「水用」とポンプの機能として何が違うのかさっぱり分からないが、目で見てはっきり分かるのはポンプ部分の色が赤ではなくて白の透明だということだ。 このポンプがけっこう使えるので助かっている。きちんとした水替えをするのには、もちろん岩組みも全部外して今まで通りのやり方でやったほうがいいだろう。しかし、私の気力・体力や時間に限りがあるときには、貝たちの命もかかっていることだし、取りあえずこのポンプで一部の換水を行っておくとだいぶ違う。「忙しいのに水替えの時間がない!」という状態のとき、私の精神衛生上、助かる部分も大きい。 貝の場合はガラスや岩にくっついているから、魚のようにポンプに吸い込まれてしまう心配がない。そういう点では、特にアクアリウム用のポンプである必要はないのだ。何よりも、冬場に石油ファンヒーターを使っている私は、灯油ポンプには慣れ親しんでいるから扱いがしやすい。また、「水用」だとポンプ全体が白の透明だから、異物が中に入り込んでいないかの確認も楽である。 今朝はマツたちタマキビの入った#2のボトルの換水を行った。水替え用のタッパーがあるので、そこにポンプの先っちょを入れておいて、ボトル内の岩の間にもう1本の先っちょを差し込む。あとはポンプをシュパシュパやれば、どんどんボトル内の海水がタッパーに出てくる。3分の1程度の水が出てきたところで、底に落ちていたエサでまだ新鮮なものを拾い上げ、ボトルに戻す。そして水は捨て、新しい天然海水と人工海水を元の水位まで入れてやれば完成。数分しかかからなかったと思う。今まではきちんと水替えをすると、1つのボトルにつき15分から20分は確実に必要だったから、革命的である。 タマキビたちはあまり水槽内の掃除をしないので、底砂がものすごく汚く臭うようになりがちだ。これから夏になるにつれ、この傾向はもっとひどくなるかもしれない。その場合は、このポンプを使った応急処置的な水替えだけでは間に合わなくなってくるだろう。マツたちの様子を見ながら、底砂を軽くすすぐところまでやる本来の丁寧な水替えの頻度も検討

この巻貝は「食べる用」か「飼う用」か?――「ベジタリアン」な気持ち(?)

私は北米にいた時期があるので、「ベジタリアン」を名乗る人たちとかなり多く接触してきた。しかし私がその当時、ベジタリアンの方々のことを理解できていたかというと、決してそうではないと思う。いや、マツたちを飼い始めるまではまったく理解できなかったと言ってもいい。むしろ偏見すら抱いていたのだ。だが、今は何となくではあるが、その気持ちが想像できるようになってしまったと感じるようになった。早い話が「貝類」を口にしづらくなってきたのである。 私はかつて、マツの仲間たちを山ほど食べていた。奥能登に移住してから、一時期仕事がなくて食べるものにも本当に困った時期があって、そのときの唯一の贅沢が「シタダミ」をたくさん取ってきて、家で茹でて食べることだったからだ。「シタダミ」は貝の種類によってそれぞれ味は少しずつ違うものの、概してサザエのミニチュアみたいなものなので、味はかなりよい。 小さいため、針のようなものでつついて身をほじくり出さなければならない手間がかかるから、基本的には商品としてはほとんど流通していない。最近はネット販売もたまに見かけるが、まだまだマイナーである。したがって、量をわきまえて採取する限りは密漁にはならない。とは言え、地元に知り合いがいないとうるさく言われる可能性があるので、その点には注意が必要である。念のため。 マツを飼い始めてからも、当時岐阜に住んでいた私は奥能登に用事があって出かける度に必ずシタダミを取ってきて、「これは食べる用」などと言って食べていた。水槽の中のマツたちを見ながら、目の前で「食べる用」の茹でたてのシタダミをほじくっていたのだ。「食べる用」のはずだったシタダミたちの中から元気のいいのを見つけると、マツたちの水槽に放り込んで「飼う用」に変更したりしていた。今、これを書いていても、よくそんなことができたものだとゾッとしてしまう。 当時既に自分でも何か不全感のようなものを持ちつつ、「食べる用」「飼う用」なんてことをやっていたのだが、ある日を境にまったく食べられなくなってしまった。「食べる用」のつもりで取ってきたシタダミたちが、鍋の中で元気に動き回る姿を見ているうち、「彼らとマツたちといったい何が違うのだろう?」と考えてしまい、食べるに食べられなくなって、すべてを「飼う用」にしてしまったのである。その頃には、他のシタダミたちよりも一層個性

扇風機で水温を下げる気化熱現象には波がある。

ここのところ絶賛していた気化熱現象だが、今日のように湿度が高めのときにはあまり効果がないようだ。水槽周りの気温が26度に対し、アクリル容器内の水温は22~23度。その中に入れてあるマツたちのボトル内の水温は22度。 今日も寝坊したが、明け方にちょっと目が覚めたときに扇風機をスタートしておいたから大丈夫だろうと思っていたら、風が弱過ぎたのかそれでも25~26度まで水温が上昇していた。強風に切り替えて数時間、何とか使える水温まで到達したという感じである。 窓枠エアコンももちろんつけているが、全然効果が感じられない。室内の温度が思うように下がらない。20度設定の冷房にしているが、実際の室温は26~28度の間である。水槽のある部屋は隣だから、なおさら条件が悪い。 私自身はエアコンに弱い体質ということもあり、20度設定の冷房のそばに居続けるのはかなりきつい。いっそのこと水槽のある部屋に窓枠エアコンを移動しようかと考え始めた。ただしそこは物置き代わりの部屋でもあるので、スペースがうまく確保できるかどうかが分からないのだが。 昨日のセールには間に合わなかったが、やはり水槽クーラーはペルチェ式を導入してみようかと思っている。水槽の部屋にエアコンを持っていければ、ペルチェ式で十分だとも思う。もしそれでうまくいかなければ、そのときは本格的なコンプレッサー式(チラー式)をネットオークションなどで手に入れれば済むことだ。

水槽用クーラーがまだ買えない・・・

5月5日は某ショッピングサイトのセール日であり、私のポイントの期限も非常に近かったので、いい加減水槽用クーラーの選定に決着をつけるつもりでいた。しかし、考えれば考えるほど分からなくなってしまった。私の環境が特殊なために不確定要素があまりに多すぎるのと、私の財政力に問題があり過ぎることが原因と思われる。結局買えないまま日付の変わる0時が近づき、大量のポイントを無駄にしないために最後の手段で知人の買い物を代理でさせてもらうという、大変苦しい状況となった。 次回のセール日は15日だが、いくらなんでもそれまでには決めなければならないだろう。天気予報では今月の後半は例年よりかなり暑くなるとのことで、すでにタイムリミットは来ていると言っていい状態だ。15日までの間、部屋のエアコンと気化熱現象だけで何とかやり過ごせるようにと祈るような気持ちでいる。 財政力に不安を投げかけているのは、何といっても6月満了の車検である。これだけはクリアしなければならない。昨年暮れに岐阜から東京に引っ越してきて以来、3月末の能登行きのために冬タイヤを履かせたままにしていた。そして、今もお金がないのと都内ではあまり運転しないのとで、冬タイヤを履いたままである。車検と一緒にタイヤ交換も頼むと安く済んだり無料だったりするらしいので、そのあたりのちょっとした「オトク」も利用しながら何とか乗り切らなければいけない。 取りあえずは15日のネットショッピングサイトのセールまでの間に、他にも自分のために買わなければいけないものがいろいろあったりするので、それをリサイクルショップなどでできるだけ安く調達してしまうこと、そして、車検の見積もりをとって予算を確保してしまうことが大切だと思っている。金銭的な見通しさえ立てば、きっと水槽用クーラーの購入にももう少し心の余裕が生まれるだろう。迷って迷ってどうしようもないときは、たいてい自分が抱えきれないものを抱えすぎていることに気づいていないものだ。余裕があれば、さっと決められるはずのことであっても。 不器用極まりない私には、一度にいろいろなことを同時進行でやっていくのは至難の業である。そういうときはRPGゲームよろしく「ちょっと回り道のイベント」が用意されていると考えて、メインのテーマから少し距離を置いてまったく別の用事から先に片づけてしまうほうが不思議とうまく

水温管理が寝坊をすると大変なことに・・・

今日の東京は昨日に比べるとちょっと暑い。夜中は20度に水温を保つため、マツたちのボトルを断熱シートを入れた箱の中にしまっているが、今日は寝坊したので出すのが遅くなった。 遅くなっても断熱シートがあるから、彼らの水温は20度のままでそれ自体は問題がない。しかし、これからボトルを移動する先の岩の入ったアクリル容器の水温がすごいことになっていた。光合成をうながす目的もあって東窓の明るいところに置いてあるのだが、午前の時点で見事に30度に達していた。 慌てて扇風機で気化熱現象を起こし始めたが、30度まで上がってしまっているとなかなか下がらない。もちろんエアコンも最強状態にして併用。2-3時間かけて、今ようやく22度まで下がって、ほっとしている。 途中で待ちきれずにマツたちのボトルを入れてしまったが、やはりアクリル容器内の水温に影響されて、ボトル内の水温も26度くらいまで上がってしまった。マツたちに悪いことをした。ボトルのフタを開けて、できるだけマツたちが涼しく過ごせるようにしてやった。 午後2時少し前の現時点で、水槽周りの室温が28度に対し、アクリル容器内の水温は22度、マツたちのボトル内の水温は20度を少しオーバーという程度に落ち着いた。室温より6度下がった状態に水温をキープできているのだから、気化熱現象もなかなか大したものである。 今度から朝起きたら、まずマツたちを箱から出す前に扇風機を全開にしてアクリル容器の水温を下げることから始めなければ駄目だと痛感した。朝寝坊なので朝の光を無駄にしないようにアクリル容器の置いてある部屋のカーテンは開けてあるのだが、水温の上昇を考えるとカーテンは閉めて寝たほうがいいのかもしれない。

気化熱現象を利用して水温を下げる。

先日、ネットで水槽用クーラーとして、豪華なゼンスイのZC-100αを注文したと書いた。しかしその後迷いが生じ、ショップに謝って1回キャンセルさせてもらった。理由はまた後日記事にしたいと思うが、要するに本格的なチラー式クーラー(冷蔵庫などと同じ方式)を買うか、もう少し安価だが効き目の弱いペルチェ式クーラー(外気温に対して○度下げる、という方式)を買うかで迷っている。 とは言え、ここのところかなり水温が上昇しているため、何の対策もしないわけにはいかない。そこで、水を張ったたらいにマツたちのボトルを3つ入れて、扇風機を水面に当てる、という気化熱現象を利用した原始的な方法を取りあえず採用している。あまり期待していなかったが、これが意外と使える。おかげでここのところ水温はマツたちの好む20度ジャストでほぼ一定しており、マツもかなりゴキゲンである。 今日はさらにもう一歩進化(?)させ、たらいではなく、岩を入れて水を回しているアクリル容器の中に直接ボトルを入れ、そのアクリル容器内に扇風機の風を当てる方法を取ってみた。実は、本当はこれはあまりやりたくない。というのは、海水に直接風を当てれば蒸発によって塩分濃度が上がりすぎてしまうおそれがあるからだ。しかし、実際にクーラーを買えば、そのクーラーで冷やすのはこのアクリル容器となるから、その予行演習としてもやってみる必要があった。それにより、どの程度のレベルのクーラーを買えばいいかも予想がつくと考えた。塩分濃度が上がったとしても所詮岩が入っているだけだからマツたちには直接の影響がないし、塩分濃度計を持っているから毎日差し水をして調整すればよいだけだ。 先ほどまで出かけていて帰ってきた結果、アクリル容器周囲の室温は24度であるのに対し、アクリル容器内の海水およびその中のマツたちのボトル内の海水の温度は20度ジャストで保てていた。扇風機は「弱」で回し、隣の部屋から窓枠エアコンで24度設定の冷風を間接的に流した結果がこんな感じである。昨日もアクリル容器内の水温があまりにも高いので、試しにと岩だけの状態で風を当ててみたのだが、27度ほどあった水温はみるみる間に下がっていき、21~23度くらいに収まってくれた。今の時期ならこの方法で問題なく行ける。 ということは、冷却能力の弱いペルチェ式クーラーであっても、真夏に何とかやれるのではな

飼育用容器とその管理法

マツたちが暮らしている飼育用容器(水槽とはとても呼べない)とその管理法について、あまり詳しく書いたことがないと思うので、今日記す。 マツたちを飼い始めたのは昨年の10月20日だった。当初は食べるつもりだったから片手鍋の中に入れたままにしていた。飼うことになって10月末頃に800mlのタッパーをいくつか用意し、海水水槽に欠かせないアイテム「サンゴ砂」(下記リンク参照)を敷き詰めて、その上に簡単な岩組みをしてしばらく続けた。エアレーションの代わりに「さんそを出す石」(下記リンク参照)という製品を購入し、各容器に1つずつ入れた。しかし、タッパーだとすぐにフタが外れたり、高さが取れないから貝たちの移動にも差し支えたり、管理もかなり面倒だったりといった問題があり、11月の初めに今使っているダイソーの1.5Lのキャンディー入れのようなガラス製のボトルを1つ購入し、一部の貝だけをそこに入れた。フタは赤いプラスチック製である。 しばらく様子を見て調子がいいようだったので11月中旬に同じボトルをさらに2つ購入し、タッパーに入っていた貝も含め、ほぼ全部の貝を3つのボトルに分けて入れるようになった。できればダイソーで売っていた梅酒のボトル(3Lか4Lのもの)を使って、全ての貝を1つにまとめたかったのだが、梅酒のボトルはたいていポツポツ模様などがついていて、そのせいでガラスに張り付いている様子が全く観察できないことに気づき、断念。当時はオオコシダカガンガラやコシダカガンガラ、クボガイなどもいて大所帯だったので、1つのボトルに10数匹ずつ入れたと思う。毎回の「点呼」のために容器に小さなシールを貼り、中に入っている貝の数を書くようにし始めたのもこの頃だった。 当初、3つのボトルにはそれぞれ別々の種類の貝を混ぜて入れていた。しかし、どうもマツたちタマキビグループとイシダタミグループの間に険悪な雰囲気が漂うようになってきた。狭い水槽の中でお互いに関わり合いを持たないように、エリアを分けて無理に生活しているような節が見られた。貝にもいろいろ人間関係ならぬ「貝間関係(?)」があるようだと気づき、種類ごとにボトルを分けることを考え始めた。12月の初め頃には、オオコシダカガンガラ、コシダカガンガラ、クボガイなどは私がまだエサを適切に与えられなかったせいでみんな死んでしまった。そして

マツたちに必要な用具を揃えるのに、既に1ヶ月以上も格闘中。買い物さえなければなあ・・・

前にも少し書いたことがあるが、私の不器用さが最もよく現れてしまう行動の一つが買い物である。さまざまなスペックを比較・検討し、お財布とも相談して自分の状況に適したものを買う、というのが非常に苦手なのだ。 余談だが、私は5年ほど前までアメリカにいた。アメリカでは返品・交換というのは当たり前のように受け付けてくれ、ペナルティもないので、私のような買い物の下手な人間にとってはとてもありがたかった。日本でも最近は返品・交換はわりとやってくれるけれど、アメリカのように「使ってみて気に入らなかったら返品」というのは、さすがにないだろう。 アメリカではおそらくチェーン系はほとんど、使った後でも返品・交換が普通にできてしまう。たくましい貧乏学生などは、卒論のプリントアウトのためにプリンターを買って、印刷が終わったら返品、なんてことまでやると聞いたこともある。さすがに私にはそこまでの図々しさはなかったが、店のほうは店のほうで「印刷するのにインクをたくさん買ってくれるからそれで元が取れる」と考えているそうだから、まったく双方、抜け目がないものだと感心するやら呆れるやらだった。 話を戻す。アクアリウムをやるにはたくさんの用具が必要だ。要するに買い物の回数が増える。これが私のものすごい負担になっている。私は品物を見ても、それを使う自分の姿を上手に想像はできない。これが、品物の姿・形をきちんと把握できない視覚認知の悪さと関係しているようだと気づいたのは、わりと最近のことである。品物の形が見えてはいても、実際には把握・理解できていないのだから、家においてある水槽にどう設置しようかなんて想像しようがないのだ。 私がお金持ちなら何の問題ないのだろうが、実際にはかなり貧乏である。したがって、気に入らなかったら返品、の許されない日本では、1回の買い物で間違いなく適した品物を買わないととんでもなく散財することになるので、本当に困り果てている。今必要なのは、マツたちの新しい水槽、水槽用クーラー、エアレーション器具などだが、いずれもそんなに安いものではない。それに場所も取るから買い物に失敗したら保管場所にだって困るし、オークションに出品するにしても梱包したり何だりといったことが、これまた視覚認知の悪さの影響で大変苦手なので、もっと困る。毎度お金を払って「苦痛」を買ったみたいになってしまうのであ

一度は諦めかけたスガイが、生きていてくれた!

1つ前の投稿にあったスガイ( 《「死因が分からない」という、辛さともどかしさ。》 )だが、生きていることが確認できた。ただ、どういうわけか元気がないので、いろいろな海藻を食べやすい場所に入れてやって休ませて様子を見ている。背中をなでても反応がないのはほぼ死んでいると判断してもよい状態のはずなのだが、さっきはタイミングが悪く「爆睡」していただけかもしれない。今回は背中をなでて呼びかけると、ほんの少しだけフタを開いて顔を出した。まずは生きていてくれてよかった。このように、巻貝の生死はなかなか判別がつかないことが多いのである。 どうもここ数日、スガイの水槽がまた不安定である。大きなトラブルこそ起きてはいないが、残された3匹のスガイの「表情」がサエないからすぐ分かる。動きも鈍い。話しかけても反応があまりない。巻貝にも「顔つき」というものがある。それが読めるようにならないと、なかなか彼らの飼育は難しいかもしれない。理系の方々や現実主義者の方々からは「馬鹿げている」と一刀両断に結論づけられてしまいそうだが、巻貝たちにも「心」があり、それが反映される「表情」や「顔つき」といったものがあるのは間違いないと、私は半年間の飼育・観察の中で感じるようになっている。  ←チラー式 vs ペルチェ式→ 

「死因が分からない」という、辛さともどかしさ。

ちょっと油断している間に、スガイの残り3匹のうち1匹が動いていないことに気づいた。岩の上に乗ったままでいる場合、基本的には軽く手でさわって岩にくっついていることを確認する。今回も確認したつもりだったのだが、岩にくっついているように思えただけで、実際には岩とボトルのガラスの間が狭かったので動かなかっただけだったようだ。 もっと早くに気づいてやれば対処できたのに・・・毎度激しい後悔に襲われる。特に具合が悪そうな感じでもなかったから、死因が分からない。寿命かもしれないし、そうでないかもしれない。原因が分からないから、どうしても自分のせいにするしかない。貝たちを飼っていて一番辛いのは、こうした原因の分からない突然死である。 フタを完全に閉じていても、まだ生きていれば背中(=貝殻)を優しくなでてやると頑張って顔を出す。その場合は、早めに対処してやるとまた持ち直すこともけっこうある。だが、今回は背中をなでても全く反応がない。もう駄目かもしれない。 ここのところ貝たちが相次いで死んでいる。原因はそれぞれ違うかもしれないが、冬の間、1匹も死なせず安定を保ってきたのに、ここ2ヶ月ほどでバタバタと死んでしまったので、ショックも大きい。原因が分かれば対処もできるが、それが分からないからもどかしい。  ←チラー式 vs ペルチェ式→ 

水位が足りない! アクリル容器の水量を3リットル追加。

カミハタ・リオプラス800は、やはり多少強すぎると感じるようになった。しかし、夏に本格的なチラー式クーラーを使いたいなら、最低でもリオプラス800以上の流量が必要だから仕方がないと思っている。この状況でできることと言えば、水量をできる限り多くして水流を少し穏やかにすることくらいだ。また、リオプラスシリーズにはエアレーションのできるパーツが付いているのだが、このパーツを取り付けても、ある程度の水量がないとうまくエアーが入り込まないということも分かってきた。 さらに今朝、真夏になったときの予行演習として、マツたちの入っている3つのボトルをアクリル容器の底を埋め尽くしている岩の間に置いてみて、どの程度容器内の水位が上がるかの実験もしてみた。すると、やはりアクリル容器の底面積が大きすぎるのか、思ったほど水位は上がらなかった。水位が上がらなければ、いくら容器内の水を冷やしてもその中に入っているマツたちのボトルまでは十分に冷えなくなるだろう。 マツたちのボトルは魚と違って水で満タンなわけではない。岩組みの頭を一部出し、そこで休んだりエサを食べたりできるようにしておく必要がある。しかもボトルのフタは基本的には閉まった状態であるから、上部の水のない部分の空気も冷やさなければマツたちはダウンしてしまうだろう。したがって、できるだけボトルの上部まで水に浸かるよう、かつ、ボトルが水没してしまわないよう、適度にアクリル容器内の水位を上げておかなければならない。 そんなわけで、これまでは6Lの水量で回してきたが、もう少し増やしてみることにした。マツたちのボトルを入れたまま、水位に注意しながら3L追加した。正直まだ足りないと言えばそうだが、取りあえずはこのくらい入っているとそれなりの水位に達する。ポンプの水流の勢いは相変わらず強いままではあるが・・・ これで合計9Lの水が、アクリル製容器の中で岩の間を巡っていることになった。記録として残しておく。

マツの大好物――「わかめ美人」

以前にも少し書いたが、生の海藻が手に入らない場合にマツが好んで食べるものの一つは「中国産乾燥ワカメ」である。輪島の朝市で手に入れた奥能登産の乾燥ワカメよりも、この日本全国どこでも手に入る安価なもののほうがはるかにお気に入りらしい。いや、もしかしたら生の海藻よりもマツのお気に入りかもしれない。奥能登から仕入れてきた生の海藻よりもこの乾燥ワカメを入れてやったときのほうが、即座に食べ始めるからだ。いったいその理由は何なのかマツに一度でいいから聞いてみたいのだが、さすがにこればかりは人間の言葉のしゃべれないマツから直接聞くことはできずにいて、大変もどかしい。 さて、私のように磯の巻貝を飼ってみたいとか、磯の巻貝がかわいくてかわいくて仕方がないとかいう「酔狂な方々」のために、今日はその製品名を具体的にご紹介しようと思う。製品名は「わかめ美人」というものだ。大きめのスーパーや、食品も扱っているドラッグストアならば、おそらく全国どこででも手に入る製品と思われる。もし近所の店には置いていないということなら、下記のリンクからアマゾンで購入も可能だ。値段も200~300円程度とお手頃である。100g入っており、私の場合はタマキビ5匹にメインのエサの一つとして与え続けているのに、半年たっても半分も減らないからコストパフォーマンスも最高である。 それにしても、この製品名がどうしても気になってしまう。マツは「美人」になりたいのだろうか? う~ん、分からん・・・ カルシウムなどの栄養分がかなり含まれているというのがウリの製品なので、マツの欲する栄養素がたくさん含まれているのかもしれない。もちろんマツだけでなくほかのタマキビたちも食べてはくれるが、この製品への食いつきっぷりが尋常でないのはマツだけである。

人工海水の作り方、半歩だけ前進(?)

これを前進と言うのかどうか・・・? ほとほと自分の不器用さと、手先を使うことに関する異常なまでの頭の回らなさに呆れているのだが、人工海水を一度に少しだけ多く作れるようになったので記しておく。 ことの発端は、先日、岩の藻を維持するために塩田の親方からいただいたアクリル製の容器を使って、水流ポンプで水を回し始めたところにある。もっと水は少なくていいと思っていたが、実際にはポンプを動かせる最低限の水位に持っていくのに6Lの海水が必要だった。 今までの私は飼育水の交換用にしか人工海水を必要としなかったから、せいぜい2Lも作り置きしておけば十分だった。2Lのペットボトルに2Lの海水を作るのは、キッチンスケールやボトルの容量の制限があって無理だから、毎回1Lずつ作っていることは先日書いた通りである。 6L必要となって、とてもじゃないが1Lずつ6本なんて無理だ!と思った。そのとき、ようやく気づいたのだ。1.5Lずつ作ればよかったのだということに。2Lだとたしかにキッチンスケールの重さの範囲を超えてしまうし、ボトルからもあふれてしまうが、1.5Lだったら重さも量れるし、1Lにつき人工海水の素を36g必要とするのだから、その1.5倍の54g入れればいいと分かる。 まったく小学生の算数みたいなところでつまずいていたのだから、自分の間抜けさ加減に呆れてしまう。何はともあれ、これで少しはまとめて人工海水が作れるようになったので、やれやれである。 ↓私の使っている人工海水「ジェックス・シーウォーター25」はコチラ。