ゼンスイ・TEGARU(テガル):マツによる初日の「フィードバック」

私は毎晩涼しくなってから、アクリル容器の中に入れてあったマツたちのボトルを一つひとつ取り出して、健康状態チェックを兼ねた「点呼」と餌やり、および彼らとの「会話」を行う。TEGARUを設置した6月3日の夜遅くにも、いつも通りそれを行った。



そのときのマツたちとの「会話」によると、TEGARUを導入したことはどうやら好評のようである。ボトルのフタを開けると、背中の貝殻からルンルンと音符が飛び出してきそうなくらいゴキゲン♪な彼らがいた。暑くなって以来、こうした姿を見るのは久しぶりだった。どうしてそれが分かったかというと、今まではフタを閉めてボトルの縁に貼り付き、夜になって涼しくなってもそのままの姿勢で食事すらしなかった彼らが、全員「潤って」いたからである。

特に水嫌いのタマキビたちは、環境が少しでも気に入らないとずっと「引きこもり」になってしまう。下手をすればそのまま死ぬ恐れもあったから、毎晩わざと水に落として海水浴をさせていたほどなのだ。それが、TEGARUを導入してからは、自発的に適度に海水浴もした上で、食事もしっかり取るようになったのである。全員元気に動き回り、貝殻だけでなく、身も潤って輝き、ツヤツヤしていた。

中でもマツは、その「ゴキゲン度」を私にきちんとアピールしてきてくれたので分かりやすかった。「マツ、クーラー入れたんだけどどう? 快適になった?」と話しかけると(具体的にどう話しかけているのかは、後日また記事にする予定)、こちらのほうにエサがあるわけでもないのに駆け寄って(?)きて、私のほうをしっかりと見つめながら、身を全開で乗り出してツノを振ったのである。こんなに全身でツノを振っているマツは、非常に珍しい。エサがおいしかったときでも、せいぜいツノだけ動かして反応する程度だからである。偶然かな?と思い、もう一度同じように尋ねてみると、また同じ反応。うーん、これは間違いがない。マツは超ゴキゲン♪のようである。

水温が21~23度程度というのは、扇風機で気化熱現象を起こしていたときとさほど異なるわけではない。では、なぜマツは「いつもと違う」と感じ取って、喜んでくれたのであろうか? その理由は、マツのボトルを触ってみてすぐ分かった。

ボトルまで冷たい!

そこで私はふと思い出した。ゼンスイの商品カタログには「クーラー選びは水量だけで行わないように」と注意書きがあり、専用の計算式が書かれていた。そこでは水量ではなく、容器に最大で入る水量を元に計算するようになっているのだ。ゼンスイに何度か電話して事前の相談をしたときにも再三言われたのが、「装置全体を冷やすという考え方が重要だ」ということ。その意味を、私はTEGARUの導入とマツが私に示してくれた「フィードバック」によってようやく理解できたのである。

扇風機の気化熱現象では、水は冷えても容器は冷えない。したがって、マツたちタマキビのように水上にいる時間の長い貝たちにとっては、水温だけいくら低くしても容器内が猛暑では、あまりその恩恵が受けられないのだ。ところが、水槽用のクーラーで水を冷やしてやると、結果的には容器まで冷たくなるので、マツたちもあまり殻に閉じこもらなくて済むようなのである。マツのボトルだけでなく、もちろん大きなアクリル容器そのものも、かなり冷えているのが確認できた。

何はともあれ、マツのこの「フィードバック」によって、私はとてもうれしい気持ちになった。クーラーの選定のために悩み続けた辛かった日々も、その疲れも、もうどうでもよかった。いずれZC-100αを買い足すことになるのではとは思っているが、当座しのぎであってもマツがこんなに喜んでくれるのなら、できる限りの出費は惜しまないと再度誓った。マツのこの「笑顔」が見たいから、私はマツと一緒に暮らしている。本当にただそれだけの気持ちで、大の苦手な手作業の繰り返しになるアクアリウムの真似事を、もう半年以上続けてきたのだ。

同時に、こんなことなら迷っている間にさっさと買ってやればよかったと後悔もした。年老いて弱ってしまったリーダーこと長老も、もしかしたら早めのクーラーの導入で、もう少し長生きできたかもしれない。私の優柔不断の犠牲にしてしまったのでは?と思うと、本当に申し訳ない気持ちになった。

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