「涙雨」

28日に経過観察中だったスガイ1匹を、空きになっていたもともとのスガイ用のボトル(#1)に移した。すでに全く反応がなくなっていて、絶命している確率が高くなったためだ。

#1はもともと状態があまりよくないボトルなので、できればもう少しマツたちと一緒のボトル(#2)に入れておいてやって、最後の復活の望みを託したかった。しかし、早ければ28日のうちに遠方に出かけて留守にするかもしれず、その間に腐り出すと#2のボトルが全滅してしまう恐れがあったため、移動させるしかなかった。苦渋の決断だった。

#1のボトルの状態が少しでもよくなるように、あまりよろしくないと思われる汚れだけは落として、水質のチェックも行った上で移動させた。結局、出発は29日の早朝になったのだが、出かける前に確認すると、独特の臭いを立て始めていたので死んでしまったことを認めざるを得なかった。

それだけでなく、留守にしなければいけないというときになって、残された最後のスガイまでどうも具合が悪くなり始めた。また、最後のアラレタマキビ「抹茶ちゃん」まで、何度も水底に落ちるなど不安要素が続々と起きてきた。そのため、出発時間を大幅に遅らせて直前まで貝たちの世話をし、晴れない気持ちのまま出かけることになった。

30日の夕方に帰ってきてみると、元気のなかったスガイは、元気のないままではあったが一応生きていてくれた。「抹茶ちゃん」も水底に落ちることなくいてくれた。そこで、スガイが比較的好むと思われるカジメや冷凍の生ワカメを多めに入れてやり、換水もして、現在も様子を見ている状態だ。

スガイは本当に自己主張をしない、おとなしい性格の貝である。だが、それだけになかなかコミュニケーションを取るのが難しい。そのため、いまだにスガイが喜んで食べてくれる海藻も、何をきっかけに具合が悪くなるのかも、今ひとつはっきりしないままであり、それがとても心苦しくもどかしい思いだ。

スガイの場合、寿命だから死んでしまうのか、何かスガイによろしくない環境があって死んでしまうのか、それすら分からないことが多い。だからついつい、私は自分のせいで死んでしまったのだと考えるしかなくなってしまう。

ただ、スガイが水質の悪化や臭いなどに特に敏感だという気はしているので、具合が悪くなるとまずは換水を積極的に行ってきた。実際、それで元気になってくれることも多かった。しかし今回は換水しても、かつてのようにすぐに元気になるということがない。もしかしたらこのスガイも寿命なのかもしれない・・・とは思うが、確信がないので不安なままである。

背中(貝殻)をなでながら呼びかけると、何とか頑張って生きようと反応はしてくれる。また、一度はフタ閉じかけてこのまま死んでしまうのか?という体勢だったのが、落ち着く場所に入れてやると顔は出してくれるし、口も少し動かしたから、まだ望みはあると信じている。酸素石を1つ追加し、食べやすい位置に海藻を置いてやり、丸3日。ひたすら経過観察が続く。

「抹茶ちゃん」も、どうも弱っている模様。水底に落ちてもすぐに救出してきたから、そのせいで体力を消耗したというのではないと思う。遠方から帰ってきて水槽の世話をして、そのまま慌ただしく仕事に出かけたが、その5~6時間ほどの間に再び水底に落ちていた。もしかしたらこの子も寿命を迎えているのかもしれない。アラレタマキビは、もともとの体が小さいので何となく若いような気がしてしまうが、実際には高齢ということも十分あり得る。

具合の悪い貝、はっきりと死んでしまったと分かる貝が出ると、とても落ち込む。いかにも梅雨らしいシトシトと降る雨音を聞きながら、死んでしまった#1のスガイを先ほど冷凍した。「涙雨」とはこういうことを言うのだろうか?と思いながら・・・ スガイのフタは、真珠型のかなり大きな厚みのあるもので、当然、重量もある。だから、死んで少しするとポロッとそのフタが落ちてしまう。立派なフタがあっけなく落ちてしまう瞬間、それがまた一層悲しい。

明日は#3のイシダタミも冷凍の予定である。このイシダタミは、私が#1のボトル掃除の「アルバイト」に駆り出したことがきっかけで一気に弱ってしまった貝である。私の責任だという気持ちが強く、それだけになかなか死んでしまったことを認められなくて、冷凍できずにいる。しかし、具合の悪いスガイが新たに出てしまった以上、できれば状態のよいボトルを別途用意しておいてやりたい。死んでしまった貝が入ったボトルをそのままにしておくのは、これ以上は無理であると思い切るしかなかった。

<現在の水槽状況>
#1:(空き)(経過観察中だったスガイが死亡確定したので冷凍)
#2:タマキビ5匹、イシダタミ3匹、アラレタマキビ1匹(経過観察中)、スガイ1匹(経過観察中)
#3:イシダタミ1匹(経過観察中だったが死亡確定)

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