ホンダワラ? ぎんばさ? ・・・え???

実は今回のマツたちとの旅、11月上旬にするか下旬にするかで随分迷った。というのは、そろそろ寒くなるので海藻の季節であり、この後夏までは能登に出かける予定がないため、今後1年間のマツたちの大切なエサ(=海藻)をゲットしなければならなかったからだ。

早ければ11月の下旬くらいからはスーパーの店頭に地物の海藻が並ぶことがあるのだが、今年はどうも出足が遅いようだった。10月の時点で各スーパーに電話をして問い合わせたが、いずれも今年は12月にならないと無理だろうとの返答。今回の旅で海藻をゲットするのは、ほぼ絶望的だと思っていた。

すると、塩田の親方が、ホンダワラがたくさん生えてきているから、自分で海で採取すればいいのではないかと言う。「ホンダワラ」とは、一般的には能登でぎんばさと呼ばれている海藻のことで、マツたちの大好物である。マツたちの食べる量なんて1年間でもスーパーの食品トレー1杯分くらいなので、最終手段として直接海から採取するしかないなと思って出かけた。

ところが・・・どうやら塩田の前の海にたくさん生えている海藻は、ホンダワラ、つまり、ぎんばさではないようなのだった。海産物は海藻のみならず魚も含め、地域独特の呼び名があることが多く、特に能登はその言葉の種類もバラエティに富んでいる。

親方の言う「ホンダワラ」もどうやらその類だったようで、マツたちの飼育について長くアドバイスを頂いている海藻博士のIさんにお会いして、親方の言う「ホンダワラ」をお見せしたところ、「あ~、これはヤツマタモクですね~」とのこと。

ヤツマタモクは、塩田の海のあたりでは干して正月の飾りとして使うものだそうで、食べ物としてはあまりメジャーではないらしい。一応、ホンダワラの親戚ではあるらしいのだが・・・ てっきりマツたちの大好きなぎんばさが手に入ると思っていた私は、困り果ててしまった。今の時期、もちろんまだワカメなどはほとんど生えていない。

しかし、大変ありがたいことに塩田のスタッフのYさん(お家が漁師さん)が、「これならマツも違和感なく食べられるのでは?」と言って、人間用としては珍しい「そのまま冷凍したワカメ」を分けて下さったのだ!!

一般的には、人間が食用として使うには、ワカメは冷凍保存には向かないとされている。解凍した時に水っぽくなって食感が損なわれるからという理由で、避けることが多いのだ。だから、たいていの場合は塩漬けにしたり、天日干しにするのだが、これは非常に手間がかかる。そのためか、そのまま、あるいは、軽く干した状態で冷凍する人も、少数ながらいるそうだ。Yさんのお宅でも、今年初めてそのまま冷凍というのをやってみたとのことだった。

さらには、以前、このブログでもご紹介した、塩田の沖の海で採れた干しワカメのおすそわけを下さったTさんからは、マツたちの目下の「マイブーム」がぎんばさであることをお話したところ、何と貴重な塩田の前の海で取れたぎんばさの冷凍まで頂いてしまったのである!! 「いつの分の冷凍かは分からないけど、多分今年の春じゃないかな?」とおっしゃっていた。茹でたかそのままかも不明らしいが、たぶんマツたちはどちらでも大丈夫。

ああ、マツたちは何と人徳ならぬ「貝徳」のあることか。これでまた1年間、安心して能登の食材を食べて彼らは東京で過ごすことができる。能登の皆さん方には、本当にどんなに感謝しても感謝しきれない。この場を借りて、あらためてお礼を申し上げたい。

ありがとうございます!!!!!
(byマツたち&ヌシ)

人気の投稿

ゼンスイ・TEGARU(テガル)レビュー:初日

イシダタミの飼育は難しい。

ゼンスイ・TEGARU(テガル)レビュー:2週間目