かつて鍋に放り込まれたゴエモンと、ついに「さよなら」・・・

4月12日の記事で、「アラレタマキビ4匹のうち2匹、イシダタミ5匹のうち1匹、スガイ5匹のうち1匹の具合が悪くなり、どうやら死んでしまったようだ」と書いたが、その後の経過である。

このときのスガイ1匹は、「登場する貝たちの紹介」ページにある「ゴエモン」のことだった。ゴエモンはまだ飼い始める前、私が食べるかどうかでさんざん迷った挙げ句、一度鍋に放り込んでしまったという悲惨な過去を持つ。そのせいなのか体が弱く、1月の寒さの厳しい頃から、しばしば食欲不振に陥っていた。その度に仲間の「リーダー(長老)」がそばで励ましたりして、何とか一口、二口とエサを食べては、また復活していた。

4月12日に記事を書いた後、実はゴエモンはまだ生きていることが確認できていた。手の中でそっと握りしめ、背中(貝殻)をさすりながら呼びかけると、顔をそっと出して応じたのだ。だから、「頑張ろうね。一口でも二口でも食べようね」と励まし、エサをそばにして、できるだけ落ち着いて休める岩場に置いて様子を見ていた。今回も何とか復活してくれると信じていたのだが、残念ながら力尽きてしまったことが昨日確認された。それは、死んだ貝に特有の臭いを立て始めたからだ。

思い返せば、今まで何回この臭いを嗅いできただろう。この臭いを嗅ぐ度に絶望的な気分になる。もう自分は何もこの貝に対してしてやれない、ということをはっきりと突き付けられるからだ。ゴエモンに対しては、私が苦しい思いをさせてしまったという負い目もあり、日ごろから体調などを特に気にかけていたから、もう二度とこの水槽で元気な姿を見せてはくれないのだと分かったときには、本当に悲しかった。

鍋に放り込んでしまったときの、ゴエモンの必死の「助けて、助けて!!!!!」という表情が、今でも私の脳裏に焼き付いている。あの必死の訴えがなかったら、私はそのままゴエモンを食料として食べてしまっていたはずだ。ゴエモンは生きようとした。そして、実際に生きた。辛い目に合わせた私のことも、許してくれた(はず)・・・である。私の釜ゆでのせいで寿命が短くなったかどうか、今となっては知る由もないが、それでもゴエモンは最後まで一生懸命生きた。このゴエモンの生きざまを、私は一生、忘れることはないと思う。

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