奥能登の「カジメ」は、実は「カジメ」ではない? 「アラメ」との違いは?

奥能登はとにかく魚貝類の種類が豊富である。東京で生まれ育った私にとって、寿司ネタにするイカひとつ取っても覚えきれないほどの種類があるということには、それだけでも大変な魅力を感じる。

奥能登に観光旅行に出かけたら、たいていの人が一度は口にすることになる海藻は季節によっても違いはあれど、アオサ、カジメ、ギンバサあたりであろうか。これらは汁物や酢の物などで出されることが多い。

さて、カジメがマツたちのエサとして使える話は先ほど記事にした通りだが、今、ウイキペディアで「カジメ」について調べていたら、ちょっと疑問に思うことが出てきたので記す。

私は、岩崎哲也『磯の生物――飼育と観察ガイド』(文一総合出版,2005年)でスガイのエサについて調べていて「アラメ」を食べさせるとよいとあったので、「はて、アラメとはなんぞや?」と検索してみたら、海藻図鑑のようなサイトにて別名が「カジメ」であると書かれているのを発見し、「アラメ=カジメ」と思い込んでいた。実際、先ほどの記事にもそう書いてしまった。



ところが、ウィキペディアで「カジメ」を調べると、カジメとアラメはよく似ているが別モノらしい。しかも「カジメ」は「日本では主に本州中部太平洋側と九州北部に分布する」とあって、日本海側にはあまりないような書きっぷりだ。

奥能登には、しばしば独特の魚貝類や海藻の呼び名というものがある。たとえば、私の大好物である、輪島の朝市で売られている「ハチメの一夜干し」。この「ハチメ」は方言のようなもので、実は魚の分類で使われている「ハチメ」とは違い、一般的な名称としては赤魚のことである。このご時世だからか、最近は朝市でも「ハチメ」ではなく「アカウオ」と表記するようになってきているが、私はこれを少々残念に感じている。土地の伝統的な言葉なのだから「ハチメ」のままでもよいのではないだろうか?

だから、もしかしたら能登で「カジメ」と呼ばれているものも、実はそっくりだけれども違う種類の海藻なのかもしれない。マツたちのような磯の巻貝もそうだが、こうしたものは人間の生活に大変身近な存在でありながら、いざ学術的に分類しようとすると非常に難しいらしい。すべての種類を研究者が正確に把握し、完全に分類できているかと言ったら、たぶん違うだろう。

奥能登の「カジメ」についてまた何か分かったら、追って記事にしたいと思っている。海藻図鑑を図書館で借りてくると言いつつ、視覚認知の非常に悪い私には図鑑を見るのが辛いので先延ばしにもなっている。図鑑を借りたら、せめてカジメとアラメの違いだけはしっかり識別できるように頑張ってみたい。

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