マツの「スーパーシート」

マツにはお気に入りの場所がある。私はこれを「スーパーシート」と勝手に名づけた。餌場からかなり離れたところなのだが、マツは休憩するときはわざわざそこまで移動する。大きな岩と小さな岩がぶつかっている境目のところだ。マツは大きな岩のほうにしっかりと張り付いて、お尻(クルクル巻いた貝殻の頂点)を小さな岩の上にチョコンと置くスタイルで、昼寝をしたり、ボーッとしたりと、自由にくつろいでいる。

マツはどうしてこんなに大きくなったのかと不思議なのだが、とにかく一人だけ体がデカイ。食べ過ぎなのか、私のエサのセレクトがよいのか(?)、人間で言えばかなり「メタボ」状態であることは確かである。だからどこへ行くにも「どっこいしょ」といった風で、ノッソリノッソリと歩く。そんなマツにとって、お尻を安定させられるこの場所は、重力の負担が少なく、かなり楽に過ごせるのではないだろうか。

「さあて、ご飯も食べたし、寝ようかな」と、いつものお気に入りの場所に向かって、当然のように歩き出すマツの姿は実に手慣れたものである。巻貝はもっと適当に、その日暮らしの偶然に頼った場所で生活していると思っていたが、このように人間と同じく「生活習慣」があるようだということを、最近になってマツに教えられた。

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