マツたちの「里帰り」(1):1年3ヶ月ぶりの能登へ

1週間ほど能登に車で出かけてきた。今回は東京に戻ってから初めて、マツたちも一緒に車に乗せて行った。彼らにとって能登は約1年3ヶ月ぶりである。

岐阜に住んでいた頃は、日帰りで能登に行けたので毎回のように連れて行っていたが、東京からだと片道1泊2日、総行程1週間ほどになり、水温や水質の管理を考えると、怖くてとてもその勇気が出なかった。

しかし、毎回私だけが能登に出かけてマツたちはお留守番、というのは何だかとても申し訳ない気持ちになってしまい、悩んだ末に決行した。往路だけで彼らの具合が悪くなれば、現地で能登の海に返して「お別れ」しないといけないかもしれない。それも全て覚悟の上での決断だった。

不思議なことにマツは能登の話をすると、どんなに昼寝で寝ぼけてボーッとしていても突然頭を出して元気に動き始める。「マツ、久しぶりに能登に行ってみる?」と1ヶ月くらい時間をかけて何度も話しかけた結果、マツはかなり乗り気な様子と分かった。巻貝たちの中にはやや躊躇気味の者もいたが、多数決で決定。大きな環境変化を避けるためには、一部の巻貝だけを別の容器で連れていくなんてことは不可能だったためである。

結果としては、無事に行って帰って来られた。行きも帰りもマツたちの健康状態にかなり気を使ったせいなのか私はすっかり疲れ果て、帰路では病院に行こうかと思うほど体調が悪くなってしまった。しかし、総合的には連れて行って正解だったと思う。マツたちは東京に戻ってきてからも、しばらく「興奮冷めやらぬ」といった感じではしゃいでいた。

彼らにも「楽しい」「嬉しい」という感情はきっとある。ただそれを表す「言葉」という手段を持たないというだけなのに、何故そうしたものを否定しようとする人々が多いのか、私には分からない。果たして「人間サマ」は、そんなに偉くて高尚な生きものなのだろうか?

今回の能登旅行を通じていろいろなことを考えたし、またマツたちのことをよりよく知ることができたので、これについては数回に分けて記事にしていくつもりである。

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