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今年初の冷房

今日は何だか暑い。マツたちのボトルの入った大型容器の置いてある部屋は中部屋で、風通しが悪いせいか余計に暑い。容器周辺の温度は28度強に達し、容器の中の気温は25度強。東南向き安アパートの宿命か? 水温はたしか2週間くらい前から、冬場の17度設定より1度上げて18度、一時19度設定にした。しかし、マツたちがどうも暑さに慣れていないようでゴキゲン斜めなので18度設定に再び下げている。TEGARUは今日のような気温だと水温が18度よりすぐ上がるため、しょっちゅう作動することになる。 このままだとTEGARUに負担がかかり過ぎ、故障してしまうおそれがある。そこで、とりあえず扇風機を使ってTEGARU周辺の風通しをよくしてみた。しかし、室温自体が下がるものではないので、当のマツたちはバテ気味の様子である。昨日に至っては、ここのところ元気のなかったマツの姿が見えないので心配して探したら、ボトルの底近くの水温の低いところに避難して休んでいた。 仕方がないので、先程、今年初めての冷房をつけた。私自身は冷房が苦手だし、電気代もかかるからあまりつけたくない。だが、マツたちのことを考えるとそうも言っていられない。冷房をつけたら、あっという間にマツたちのいる部屋の室温が2度ほど下がった。このくらい下がっていれば、TEGARUの負担も少ない。 マツも早速涼しさを感じたのか、久しぶりにゴキゲンポーズを取ってくれたので、一安心。場合によっては、本格的な暑さになるまでは、マツたちの部屋だけ窓枠エアコンで冷やすことも検討中である。人間と海の生きものの共存は、かくも難しい・・・

マツたちの「里帰り」(2):連れていく決心を固めるまで

巻貝にだって、やっぱり体調の悪い時というのはある。私はそれを「風邪」と勝手に名づけている。人間で言えば風邪のようなものだと思うからだ。こういう時は、数日間調子が悪そうに1箇所でジーッとしている。人間だって、どんなに健康な人でも、きっと同じようなことは思い当たるはずだ。 マツは、一昨年の10月末に私のところに連れて来られてからしばらくして、ちょっとだけ「風邪」を引いたことがあった。しかし、それ以降はいたって元気で、いつも豪快な食べっぷりを見せてくれてきていた。そのマツが今年2月の半ばくらいに、久々に1~2週間ほど調子を崩した。毎朝、毎晩の点呼の際、いつも同じ場所にいて動かず、ご飯もほとんど食べず、顔すら出さないからとても心配した。このまま死んでしまったらどうしよう・・・と、最悪の事態まで頭をよぎった。 ちょうど能登に連れて行くかどうか迷っていた時期でもあったので、これでは諦めざるを得ない、と思っていた。それどころか、留守番させていくのすら心配になり、私の能登行き自体を中止にすることも覚悟しなければならなかった。能登に出かける予定の時期が近づき、塩田の親方からも「マツを連れてくればいいのに」と言われるようになり、焦った私が、 「マツ! こんな状態じゃ、能登になんか連れて行けないよ! 元気出しなさい! 塩田の親方も待ってるよ!」 と呼びかけると・・・あら不思議。マツは急にムクムクと頭を出して、必死で「元気アピール」をするのである。一度や二度ではない。何度試しても同じ反応だ。ああ、マツは里帰りしたいんだな、と私は確信した。実際その後、マツはまたよく食べるようになり、私が朝のあいさつをしようとボトルを覗くと、必ずマツがガラスに大きなお腹で張り付いて、こちらをじっと見ながら両方のツノを元気にフリフリしているということが続いた。 マツは貝殻から全身を乗り出すようにして、 「大丈夫だから。絶対、能登行くから!! ほら、元気でしょ???」 と一生懸命なのである。その姿を見て、私はマツたちを「里帰り」させる決心を固めたのだった。

「人間用じゃありません!」

昨春、東京に戻ってから初めて能登に出かけた時のこと。 能登に住んでいる時に行きつけだったスーパーで、さまざまな生の海藻をマツ用に物色していた。 知らない海藻や、生なのか茹でてある(能登の人は「湯がいてある」と言う)のか分からない海藻があったので、鮮魚コーナーの顔なじみのスタッフに声をかけた。 事情を説明して、よりよい海藻を教えてもらおうと思って、おずおずと 「実は人間用じゃないんですけど・・・」 と言いかけると、まさかエサ用だとは思っていないその人は、たちの悪いジョークだと思ったのか、何を言っているのだという顔をしながら、 「いやいや、人間用ですっ!!!!!」 と断言。困った私はすかさず、 「いえ、人間用じゃないんですっ!!!!! 『貝用』なんですっ!!!!!」 と断言。 「・・・???」 何度か同じやり取りを繰り返し、ようやく私が真面目に言っていることが伝わったのか、唖然とするスタッフの人。(当たり前) 「実は能登のシタダミを飼ってまして、エサ用なんですよ~」 とようやく説明できた。 スタッフの人はビックリしながらも、巻貝たちの好きそうな海藻を教えてくれたが、それ以来、私はすっかり「シタダミを東京で飼っている変な人」として覚えられてしまったようである。 能登の人たちにとって磯の巻貝たちは、あまりにも見慣れた「風景」であって「生き物」としてあまり認識されていない。というか、ほとんど相手にされていない。 マツたち、かわいいのになあ・・・

生もずく、お気に召さず。

生もずくはマツたちが気に入るかどうか微妙な海藻だと思いつつも、買ってみた。そもそも、凍らせるんだか干すんだか、保存方法もよく分からない。 ならば、まずはマツたちの口に合うかを試してみて、合わなければ人間用、合うようなら冷凍でもしようと決心。今日(6日)、マツの目の前に置いてみた。 とてもよい能登の海のにおいがするので、マツは最初興味津々だったのだが・・・しばらくすると・・・あれ? 頭(=2本のツノ)が反対方向を向いている。 私もそう簡単には諦めない。 ヌシ「はい、マツ。これおいしいよ」 と、お世話用の割り箸を使って、生もずくをマツの目の前にどっかりと置き直した。 マツ「・・・(ノソノソノソ)」 そっぽを向いて、次第に遠のいていくマツ。こりゃダメだ。 口が小さくて、ワカメなど大きなものが食べづらいイシダタミたちは、餌の供給が常に緊急課題。マツたちタマキビが駄目ならば、彼らはどうだろう?と思って、小さな体で元気にボトル内を走り回るヤンチャに生もずくの上に乗ってもらって、試食会開始。 ん? 口、つけたかな??? ・・・という私の期待を見事に裏切り、そのうちヤンチャはツルツルツルツルッとすべり台のように生もずくの上を滑り落ち、下にあった岩の上に真っ逆さまに落ちてもがいていた。こりゃダメだ。 そんなわけで、生もずくはどうも巻貝たちのお口には合わないようだと判断せざるを得なかった。 若干賞味期限を過ぎてしまったのだが、今から人間用として使うにはどうしたらいいか悩むところである。

マツたちのために、ついに冷蔵庫の買い替え!

暮れから春のはじめにかけては、海藻がまさに旬! 先日の能登旅行の一つの目的は、これから1年間のマツたちの大切な食料となる地物の海藻を仕入れることだった。昨年は3月の末に出かけたが、今年は1ヶ月早い2月の末だったからか、珍しい海藻類をたくさん地元のスーパーで手に入れることができた。全部で15パックほど仕入れた。 ・宇出津産 生わかめ ・宇出津産 アカモク ・蛸島産 生わかめ ・蛸島産 アカモク ・輪島産 かすかも ・輪島産 はまな ・輪島産 かじめ ・輪島産 ぎんばさ ・輪島産 あおさ ・詳細不明の石川産(たぶん七尾か蛸島?) 生わかめ ・詳細不明の能登産 生もずく ・・・等々。 ところが、旅の疲れもあって、新しく入手した海藻の干したり冷凍したりの作業はなかなか進まず、だんだん水っぽくなって傷んでくるので、悩んだ挙げ句、思い切って冷蔵庫を新調することにした。 実は私は、海外から帰国して能登入りしたとき、冷蔵庫を買うお金もない超絶ビンボー状態だった。そこで、代々能登への移住者が最初の準備期間に使ってきたという1992年製の古い冷蔵庫を、「ヌシさんで最後ですよ。処分まで責任持ってやって下さいね」と念押しされた上で移住者の先輩から譲り受け、今まで6年間大切に使ってきた。 古いから電気代は食うのかもしれないが、一人暮らしなら十分な大きさだったし、取りあえずはしっかり冷やしてくれるのでとても助かっていた。だが、実は譲り受けた時点で先輩からも重々言い渡されていたことだが、天板部分に謎の水分が溜まるという不調があり、また、ドアの裏側のパッキンが外れてしまっていて霜取りをしてもすぐにまた霜がつくなどの症状も出てきて、年々使いづらくなってくるのを感じていた。 「ああ、冷蔵庫が欲しいなあ」と思いながらも、なかなかまとまったお金がなくて数年。しかし昨晩ついに、ネットショッピングでほとんど衝動買いをしてしまった。マツたちの生命を守ってくれる大切な冷蔵庫だと思えば、この投資も仕方あるまいと決断したのだ。 日本の無名メーカー製(失礼)だが、ネット上ではわりと評判がよかった。省エネ型ではないので、今の冷蔵庫と電力消費量があまり変わらないのが残念だが、私が注目したのは、冷凍庫が大きいことであった。今の冷凍庫は25Lしか入らない。今度の冷蔵庫は47L入る。...

マツたちの「里帰り」(1):1年3ヶ月ぶりの能登へ

1週間ほど能登に車で出かけてきた。今回は東京に戻ってから初めて、マツたちも一緒に車に乗せて行った。彼らにとって能登は約1年3ヶ月ぶりである。 岐阜に住んでいた頃は、日帰りで能登に行けたので毎回のように連れて行っていたが、東京からだと片道1泊2日、総行程1週間ほどになり、水温や水質の管理を考えると、怖くてとてもその勇気が出なかった。 しかし、毎回私だけが能登に出かけてマツたちはお留守番、というのは何だかとても申し訳ない気持ちになってしまい、悩んだ末に決行した。往路だけで彼らの具合が悪くなれば、現地で能登の海に返して「お別れ」しないといけないかもしれない。それも全て覚悟の上での決断だった。 不思議なことにマツは能登の話をすると、どんなに昼寝で寝ぼけてボーッとしていても突然頭を出して元気に動き始める。「マツ、久しぶりに能登に行ってみる?」と1ヶ月くらい時間をかけて何度も話しかけた結果、マツはかなり乗り気な様子と分かった。巻貝たちの中にはやや躊躇気味の者もいたが、多数決で決定。大きな環境変化を避けるためには、一部の巻貝だけを別の容器で連れていくなんてことは不可能だったためである。 結果としては、無事に行って帰って来られた。行きも帰りもマツたちの健康状態にかなり気を使ったせいなのか私はすっかり疲れ果て、帰路では病院に行こうかと思うほど体調が悪くなってしまった。しかし、総合的には連れて行って正解だったと思う。マツたちは東京に戻ってきてからも、しばらく「興奮冷めやらぬ」といった感じではしゃいでいた。 彼らにも「楽しい」「嬉しい」という感情はきっとある。ただそれを表す「言葉」という手段を持たないというだけなのに、何故そうしたものを否定しようとする人々が多いのか、私には分からない。果たして「人間サマ」は、そんなに偉くて高尚な生きものなのだろうか? 今回の能登旅行を通じていろいろなことを考えたし、またマツたちのことをよりよく知ることができたので、これについては数回に分けて記事にしていくつもりである。