ぎんばさ vs アカモク(3)

マツにぎんばさを食べさせたら、アカモクを食べてくれなくなったという話を前回までで書いた。

【関連記事】
ぎんばさ vs アカモク(1)
ぎんばさ vs アカモク(2)

ただ、これはマツが単に「ワガママ」なのではなくて、たしかにマツの主張にも正当性があるのだ。

というのも、マツたちの育った奥能登の塩田近くの海には、アカモクはないからである。全く存在しないのかどうかは知らないが、能登では「アカモク」と言えば宇出津産、と決まっているようなものだ。

そして、能登の輪島から珠洲にかけて連なった「外浦」の海岸線にある塩田近くの方々が、アカモクを自分で採って食べているという話は、少なくとも私は今まで聞いたことがない。

実際、いつだったか塩田の親方からマツが何を食べているかを聞かれた時、アカモクだと答えたら、「おかしいなあ、この辺にはアカモクはないんだけどなあ」と言われたこともある。

一方、ぎんばさであれば、最近は環境の変化であまり採れなくはなったものの、塩田近くの飲食店では汁物や酢の物として出される、ごくごく一般的な海藻である。

つまり・・・マツはちゃんと知っているのだ。自分を育ててくれた海藻は、アカモクではなくてぎんばさなのだということを。

マツにとっては、ぎんばさこそが「ふるさとの味」なのであり、昨年まで好んで食べていたアカモクは、あくまで他所で暮らすための「代用品」でしかなかったのだ。

マツ、お前もグルメよのぅ~・・・(ため息)

と、思わずどこの時代劇かと思うようなセリフが出てしまう。

・・・そんなわけで、私もマツに対して、アカモクを無理強いはできないのである。

だが、ヌシ側の事情としては、冷凍庫いっぱいにアカモクが詰まっている限り、人間用の食料を入れるスペースはいっこうに増えないから困ってしまう。

また、ぎんばさの蓄えのほうはたくさんあるわけではないから、いくらマツのリクエストがあっても、そればかりを与えることもできない。

したがって、しばらくの間、どうしてもマツには我慢してアカモクを食べてもらう機会のほうが多くなるだろう。

マツの機嫌のよさそうな時(?)を狙っては、謝りながらアカモクを入れたり、時には、ギンバサと半々にして混ぜてごまかしてみたりと、ヌシも必死である。

↓石川県産のぎんばさ(ぎばさ、とも言う)。最近はあまり採れなくなってきているので、値段も上がり気味の様子。

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